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読書メモ:『Corporate Creativity』

2012年02月22日 17:11



副題に「How Innovation and Improvement Actually Happen」とある通り、この本はいかに創造性を発揮して非連続的な革新(Innovation)と改善(Improvement)を起こしていくか、というテーマで書かれています。とはいえ、この本が書かれたのが97年で、著者の一人が日本で研究していたこともあり、かなりカイゼン活動寄りな内容で、「現場レベルの自主的な活動から予期せぬ改善のタネが…」という感じ。主な対象としているのは、アイデアを生み出し、それを組織としてどう捕えるか、というイノベーションのプロセスの最初の段階です。

ということでその辺に興味がある方はともかく、私には正直期待外れの内容でした。残念。

読書メモ:『イノベーション・マネジメント 成功を持続させる組織の構築』 価値の創造と獲得、日本企業の弱点

2012年02月20日 04:19

以前紹介した『イノベーションのジレンマ』が新しい理論で鋭くイノベーションに切り込むような本であるのに対し、この『イノベーション・マネジメント 成功を持続させる組織の構築』(原題は『Making Innovation Work - How to manage it, measure it, and profit from it』)は現役経営者に対して実践的で包括的な指針を示すことを目的として書かれたようです。ということで目から鱗的な話はあまり見当たらないのですが、経営者やマネージャーが実務に反映させるを目的に読む分には、良いのではないでしょうか。サイエンスというよりアートな感じです。

  

ところでこの本でも、イノベーションを考える際に避けて通れない、価値創造(Value Creation)価値獲得(Value Capture)について触れられています。今日は少しこの話を日本企業目線でしてみようと思います。

イノベーションというと新技術開発や、新しいビジネスモデルの発明といった、価値創造を連想する方も多いと思います。しかし、イノベーションを成功させる、つまり世の中にインパクトを与えるためには、それを市場に出し、収益化する必要があります。収益化しない、という手もありますが、継続的にイノベーションを生み出すためには報酬や資金源としてお金が必要というのが一般的です。これが価値獲得です。

価値創造に関して、日本企業はどうでしょうか?今でも多数の技術特許を毎年取得し、また世界に先駆けて独自のビジネスモデルを生み出している日本企業はそれほど悪くない状態のように思えます。競争力のある企業は、伝統的な中央研究所モデルに、オープンイノベーション的要素を取り入れながら、質の高いR&Dを行っています。

一方で、価値獲得のプロセスというのは、創造された価値をマーケティングし、製品化し、改善していくことです。多くの日本企業は、成功しているグローバル企業と比較するとマーケティング面で弱さが見えます。しかし、製造、デザイン、改善のプロセスにおいてはかなり優れた部類に入るでしょう。

そうすると、マーケティングさえなんとかなれば、日本企業はイノベーションをある程度継続的に生み出せるようにようになるか?というと、残念ながらそんなことはなさそうです。私が最も問題だと思っているのは、生み出された技術的発見や知的資産(ビジネスモデル含む)を、真に製品化・市場化に繋げていく部分です。同意してくれる方も少なくないのではないでしょうか。

この「繋ぎ」の部分を成功させるには、2つのアプローチがあるように思えます。

まず、経営トップのリーダーシップによるものがあります。現状の価値観や安易な数値評価により潰されそうになるイノベーションの芽を、トップが責任を持って守っていく。リスクを取って投資する。ソニーがゲーム市場への参入を検討していた際に、プレイステーションの開発を主張する久夛良木氏に、当時トップだった大賀氏が「Just do it!」(注:なぜか英語なのは大賀さんの個性?)とゴーサインを出したのは有名な話です。

もう一つは、プロセスを整備する方法。この本でもコーポレートベンチャーキャピタル(CVC)や、同一組織に別働隊を作る方法などが書かれていますが、長くなるので今回は省略。

日本企業の成功例は前者、つまりリーダーシップ・パターンが多い。そして、リーダーシップの源泉が創業者・メンバーのカリスマ性であることが多い。ソニー、ホンダ、リクルート、ファーストリテイリング、大塚製薬、セブン-イレブン、ホンダ…経営者の顔が容易に思い浮かびます。これは裏を返すと、創業者以外が強いリーダーシップを発揮し辛くなる要因があり、それがイノベーションを阻害している可能性があるということです。また、プロセスについても、基本的には強いリーダーシップが抵抗に強いプロセスを作るので、創業者世代がそれを作っていないと、後から作るのが難しい。

このあたりがポイントだと思っています。また長くなってきたので、「じゃあ、どうすればいいの?」といった続きはまた今度。

読書メモ:『Buying Your Own Business』 ~スモールビジネスを買って一国一城に主に

2012年01月29日 16:44

「Buying Small Business」という授業の事前リーディングとなっていた本。講師が「3時間で読めるから授業の前に読んできて」とアナウンスしたのに従って読んだところ、だいたい授業の内容が予想がついて、私の求める内容とギャップがあるのが分かりましたので、結局、受講をキャンセルしました。後述しますが、私の主な関心はスモールビジネスではなくスタートアップ企業の買収だったので、ややズレてました。



この本の対象は年間売上3億円~50億円程度のスモールビジネスを買収して経営しようと考えている人が対象です(ちなみに日本のコンビニ1店舗あたり年間売上は平均で約2億円)。地元の小売業や配送業、小さなメーカー等をイメージすれば良いと思います。これらの企業では財務諸表すらきちんとしてないことも多く、往々にしてオーナーの個人商店の延長であるような運営なので、上場企業の買収とは違った注意点がいくつもあります。そのあたりを、著者の豊富な経験を基に、実務的にざっくり把握できるのが本書の利点です。高尚な理論みたいなものが出てこないかわりに、ざっくりとした相場観が語られています(この業種なら年間売り上げのXパーセントが買収金額の目安、みたいな)。MBAで経営を専門に学んだりしていないような人が想定されている読者層のようで、難しい話はあまり出てきません。

この本は当然、米国での事業を前提として書かれているので、日本とはスモールビジネスを売買する市場の規模や構造が異なる可能性はあります。しかし、本書で取り扱っているのは普遍的な内容が多いので、日本で買収を考えている方にも8割方通用すると思います。

ところで、本書のタイトルとなっているスモールビジネス(Small Business)というのは、米国ではスタートアップ(Startup Company)とは異なったニュアンスを持っています。「世界を変える」というような、日本人だとちょっと歯が浮きそうな高い目標を掲げて野心的な拡大とキャピタルゲイン狙う企業は、一般的にスタートアップと呼ばれます。一方、自分で独立して経営する点では同じでも、それほど拡大志向を持たない場合は、スモールビジネスと呼ばれます。日本ではこの2つを区別せずに、例えば「(青年)実業家」などと言って一括りにして語ってしまうことが多いように思えますが、米国では別物として認識するのが一般的です。

※「ベンチャー企業」は和製英語なので、英語で話すときは注意です。普通はStartupを使えばOK。

そのスモールビジネス経営者となる方法として、起業もあれば、既存ビジネスの買収もあります。独立志向な人の割合が多いアメリカですから、誰かに雇われずに働くというのは、人生の魅力的な選択肢の一つとなっており、大企業の大型レイオフが日常茶飯事となった今、失業後の道として、このような道を選択する人は少なくありません。バブソンの同級生でも、将来はベンチャーではなく、スモールビジネスを立ち上げたいと話す人もいます。

とはいえ、スモールビジネスを始める準備だけを純粋に目的にするのであれば、フルタイムMBAは費用がかかり過ぎる上にオーバースペックに思えます。留学生であればなおさらですので、そういった方は、相当お金に余裕があるのでなければ、働きながら学べる日本国内のMBAや経営コースを考えられた方が良さそうです。

一方、賛否が分かれる、スタートアップ起業志望者がMBA留学する是非ですが、えー、これは書きだすと長くなるのでまた今度にします(笑)

読書メモ:『スティーブ・ジョブズ』 ~「規格外」を受け入れる社会・組織とイノベーション

2012年01月29日 04:04

言わずと知れた去年のベストセラー本。

 
 
[上段左から日本語版I、Ⅱ、下段が日本アマゾンでの洋書(洋書は1冊で完結)、米国アマゾンのハードカバー。私が買った米国キンドル版は約14ドル=約1100円。1Q84もそうだったけど、結構な価格差。英語の文章は結構平易なので、節約したい人は英語版もアリかと。]

彼の軌跡については仕事柄そこそこ知っていた上に、ビジネススクールに入ってからアップルネタは耳タコ、最後は亡くなってからのブームで結構細かいエピソードまで勝手に耳に飛び込んできたので、あらかじめどの辺の話を読むか狙いを定めておいて、他はさらっと流すように読んだ。

読み始めて改めて感じたのは、彼の凄さ。何が凄いかというと、その変人ぶりである。AppleⅡ発売の頃までのくだりで、ジョブズが投資家初め多くの人に対面するシーンでは、大抵「裸足」「汚い恰好」「奇妙な食習慣による痩せっぷり」「週一しか風呂に入らないことによる強烈な匂い」あたりが第一印象になっている。対人関係もこれに負けない。気に入らない相手を平然と罵倒しまくる(※TechCrunchの記事によると、"shit""sucks"で罵倒したシーンが本文中で24回w)かと思えば、自分の思うようにならないとすぐ泣きわめく。共同経営者にすら嘘をつく。ウォズニアックはじめ一緒に働いていた人達にとっては、本当にたまったものじゃなかったと思う。

ジョブズがペプシコから招聘したスカリーによってアップルから追放された、という部分も、この本を読むまでは、私はジョブズに同情的だった。隙だらけのジョブズが、一枚上手のスカリーに陥れられたというような認識だった。しかし、詳しく経緯を読んでみると、ジョブズに同情的だった他の取締役を含めて皆がかばい切れなくなった、という表現の方が現実に近いようだ。

とはいえ、周知の通り、歴史に残る革新的な製品を次々と生み出した稀有な才能の片鱗をジョブズが早くから見せていたのも事実である。理解ある寛容な大人や、リスクを取って彼に賭けた投資家・取引先、そして少なくない幸運に助けられて、その才能が花開いた。私はこんな変人の才能を、殺すことなく育てた環境にも注目したい。

シリコンバレーには多様な価値観を持つ投資家がおり、その中からジョブズの才能を見出し、支援する人が出てきた。では大企業においてはどうだろうか?

多くの「ちゃんととした」企業には、それなりに統一されたビジョン、戦略、事業計画があり、資源配分はそれに基づいて行われる。これは経営環境として先がある程度見えていて、効率性が重要な状況であれば、合理的である。しかし、この統一されているというのが厄介で、この価値観にそぐわない、あるいは想定していないアイデアや才能は排除するように機能してしまう。よって「ちゃんとした」企業でイノベーションは起こり辛くなる。

大企業がこれを乗り越えるケースには、いくつかのパターンがあるように思う。

一つは、アップルにおけるジョブズのように製品・サービスの詳細レベルまで深く関与するトップに先導されて、イノベーションが起こるパターン。流通業でも、これが多いように思う。

もう一つは組織が「遊び」を許容する文化を持っており、そこからイノベーションが起こるパターン。かつてソニーの技術者が業務外の研究をする中で、革新的な技術を開発したようなもの。グーグルの20%ルールは、それを形式化したものである。こちらもトップの強いリーダーシップは重要である。ある意味「非効率な」文化や革新の芽を外部の圧力から守っていく必要があるからである。

いずれにせよ、大企業のイノベーションとリーダーシップには強い相関があると、最近特に感じている。この本は事実を丁寧に積み上げて書かれているので、その点でも参考になった。

読書メモ:『OPEN INNOVATION -ハーバード流イノベーション戦略の全て』

2012年01月08日 08:47



最近、にわかに周囲でオープン・イノベーションに関する話が多くなってきたので読み返しました。2003年つまり9年前の著作です。簡単に要約します。

20世紀に標準的であった、大企業が中央研究所を作って、そこで開発された技術を基に新製品を開発するモデル(=クローズド・イノベーション)が効率的な方法ではなくなってきた。

その理由は、①優秀な知的労働者が増加し、かつ流動化した。これにより知識が企業内研究所のみに保有されている状態から、世の中に広く存在するようになった。雇用流動化により、専門知識を持った人材をベンチャー企業も雇えるようになった。②ベンチャーキャピタルが登場し、アイデアを持った起業家が資金的な支援を受けられるようになり、革新的なベンチャーが多数生まれるようになった。③新技術が所属企業で速やかに商品化されなかった場合は、研究者が退職して起業するようになった、の3点である。これらにより、大企業の外にもイノベーションのための資源が豊富に存在するようになった。

この新しい環境の中で、新製品をより早くマーケットに出すプレッシャーを受けている大企業が行うべきことは、これまでのように自前の人材・技術のみに頼るのではなく、企業内部と外部のアイデアを有機的に結合させ、新製品を開発する、つまり価値を生み出すことである(=オープン・イノベーション)。また、企業内部で生まれたアイデアは、自社の既存ビジネスで利用するだけでなく、そのアイデアでスピンオフ企業を設立する、他社にライセンス供与する等の使い道を積極的に考えるべきである。


商品・サービスがより複雑になる一方で素早く新製品を出し続けることが求められる現在のビジネス環境においては、オープン・イノベーションのメリットは大きく、実際に多くの企業がこのモデルを採用するようになってきています。もちろん、垂直統合型でクローズドな開発プロセスの代表例であるアップルが成功しているように、オープン・イノベーションがクローズドに対して絶対的に優れているわけではありません。しかし、そのアップルもiPhoneアプリではオープンな戦略を採用するなど、米国では一般的な戦略となりました。

米国企業と比較して日本企業は今でもクローズド・イノベーションモデルに近いスタイルが多いように思えます。その理由として、今でも自前主義の意識が強いという内的要因と共に、雇用の流動化が進んでいないため大企業が引き続き優秀な研究者を抱えており、結果としてベンチャー企業の力が弱いという外的要因も挙げられそうです。外に頼れるリソースが少ないので、大企業は自前での研究開発を強いられてしまう。しかし、スピンオフがまだ多くない現状では、大企業で開発されたが商品化されなかった技術の多くが、ただ死んでいくことになり、投資対効果は低くなってしまいます。

ここでも雇用の流動化を促進するような政策が強く望まれるところですが、現実が逆方向に向かっている中、企業としてはそれを待つことはできません。したがって、日本の大企業がすべき事は、日本のベンチャー企業だけでなく海外のベンチャー企業の技術・アイデアに関する情報を積極的にキャッチし、オープンに受け入れると共に、自社内で開発されたが既存事業にフィットしない技術・アイデアをライセンシングやスピンオフにより有効活用する内部プロセスを構築することなのでしょう。今では、現実にこの路線に舵を切っている企業も少なからずあります。

最後におまけで一言。原書の副題は「The New Imperative For Creating and Profiting From Technology」つまり「技術を生み出し、そこから利益を得るための新しいルール」という感じなのですが、日本語版は「ハーバード流イノベーション戦略のすべて」。現実問題としてこういうタイトルの方が売れるのかもしれませんが、何とも陳腐な印象です。「すべて」って…。内容がちゃんとした本なので、タイトルもカッコ良くあって欲しいと思うのはスノッブすぎる意見でしょうか?


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