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「理論上」、Google+は失敗する??

2011年07月08日 05:39

アントレプレナーシップやイノベーションを「学ぶ」ことには、(ファイナンスやマーケティングとは違って)一般に根強い不信感のようなものがあるように思います。「そういうのは、勉強するものではなくて、生れつきの才能・性質やひらめきに関するもので、仮に後天的に習得可能としても、それは実践の中で身に付ける種類のものだろう」というような考えです。

一方、以下のちょっと長い引用のような考え方の人もいて、私はそっち寄りです。だからこそ、わざわざ2年間も仕事の現場から離れて勉強してます。

イノベーションほど複雑な企てに予測可能性を求めるのは、決して非現実的なことではない。十分調査した研究に基づく理論体系があれば、どんな分野にも予測可能性をもたらすことができる。理論とはつまり、「どのような条件下で、何が、何を、なぜ引き起こすか」という言明である。経営理論を過小評価する経営者は多い。理論という言葉は理論上という言葉を連想させるが、これには非現実的という意味合いがあるからだ。だが、理論はこの上なく実用的だ。現に、重力の法則は理論であり、しかも有用だ。この法則があればこそ、崖から足を踏み外せば下に落ちることが予測できる。(クレイトン・クリステンセン 『イノベーションへの解』) ※強調は原文通り

意思決定を行うことのできる人ならば、学ぶことによって、起業家的に行動することも起業家となることもできる。起業家精神とは気質ではなく行動である。しかもその基礎となるのは、勘ではなく、原理であり、方法である。(P・F・ドラッカー 『イノベーションと企業家精神』)

さて、前置きが長くなってしまいましたが、本題。最初に引用したクリステンセン教授の「破壊的イノベーション論」では、以下のような理論があります。

理論1 既に大企業が競争力を持っている既存商品・サービスの顧客をターゲットにして、新参企業が現在より少し優れた商品で参入した場合、既存大企業の反撃に遭って失敗に終わる可能性が高い

理論2 成功する確率が高いのは、既存商品・サービスより品質が劣るがシンプルで安価な商品・サービスで、既存大企業の顧客とは別の使い方をする顧客を見つけて参入するか、その品質レベルで十分満足する顧客を対象にして参入する場合である。そこで成功を収めた後、性能・品質レベルを向上させながら、要求水準の低い側から順に市場を侵食していくことができる


これらの理論を裏付ける過去の事例や詳細な説明に興味がある方は、こちら↓。

 

今回は、この理論を「Google Docs」と、最近トライアルが始まって話題の「Google+」に当てはめてみようと思います。結論は、「Google+は、少なくともアメリカではあまり広まらない、つまりフェイスブックの牙城は崩せないのではないか?」です。

まず、Google Docs(以下、Docs)です。これはオンライン(クラウド)上で使える、無料の業務用アプリケーションサービスです。簡単に言うと、市場をほぼ独占してきたマイクロソフトOfficeの無料オンライン版です。

正直、サービス開始からしばらくのDocsは使い勝手が悪い上に機能も少なく、ちょっとしたメモ以上の使い方は厳しいなと思ってました。そしてマイクロソフトも同様に捉えていて、「あんな不便なサービスは一般的にはならない。利用者は便利で快適に使えるOfficeをPC上で使う方を選ぶ。あるとしても、PCをメインに、オンライン対応を多少やってお茶を濁しておけば十分」と考え、それほど真剣に対抗策を打ってきませんでした。

しかし、状況は変わりつつあるように思えます。例えば、私は最近、グループでプロジェクトを行う時に、OfficeとDocsのどちらをメインで使うか、迷うようになってきました。それは、Docsの性能が上がってかなり使いやすくなってきて、私が必要と考えるレベルに近づいてきたのと、オンライン上で複数人が同時に作業できるメリットがあるからです。

企業で使うには、まだまだ互換性等の面でOfficeを使う必要はあるでしょう。それでも、個人や学生にとっては十分と思える性能レベルに近づいてきたことで、従来のOfficeとは異なるこれらの顧客に支持され始め、そのうちにOfficeの顧客の中でも、それほど品質要求の高くない顧客から順にシェアを切り崩していく可能性が高そうです。

つまり、理論2(参入成功率が高い方)の軌跡を辿っていると考えられます。

DSC_0609_convert_20110708083424.jpg
[箸休めの写真:Google本社にあったGoogle Holodeck。Google Earthに囲まれてる感じ]

次に、Google+です。

今度の競合は言うまでもなくフェイスブックです。利用者が情報を得る起点は、ポータルサイト(Yahoo!時代)→検索(Google時代)を経て、SNS(Facebook時代)へと変化しつつあります。利用者はSNS上で長い時間を過ごすようになり、そこで行き交う、リアルな人間関係(ソーシャルグラフ)と結びついた情報と比べると、グーグルが得意としてきた検索ワードを始めとしたキーワード分析の相対的な価値が低下してきました。

「世界の情報を整理し、人々がアクセスできるようにする」というグーグルの目標にとって、そしてビジネス上の競争という意味でも、SNSはグーグルにとって「負けられない戦い」です。そこで登場したGoogle+。トライアルで少し触ってみましたが、確かにいくつかの点でフェイスブックより優れていると思います。例えば、友人を「サークル」と呼ぶグループで管理することで、きめ細かい情報のシェアができるようになっていたりします。概念が少々とっつきにくい気はしますが、操作自体は直観的で使いやすいです。

しかし、これは理論1(参入成功率が低い方)に当てはまります。

少なくとも米国においては、フェイスブックはコンピュータを使うほとんど全ての人に浸透し、すでに社会インフラ化しています。後発のGoogle+がターゲットとするユーザや使用するシチュエーションは、現在フェイスブックを使っているユーザと重複します。この戦略を取ると、先行するフェイスブックは全力で対抗策を打ち出してくるでしょう。先のサークルについても、利用者の受けが良いとなれば、フェイスブックが似たような機能を提供してくるのは時間の問題です。

そのような状況で、先行者として数億人の登録利用者ネットワークという資産を持ち、高度なサービス開発能力を持つフェイスブックからシェアを奪うのは、かなり難しく、失敗に終わる可能性が高いというのが、この理論から導き出せる予測です。

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もちろん、これが必ず当たる!というつもりはありません。他にも適用可能な理論は無数にありますし、同じ理論でも見方によっては異なる結果が導き出せるかもしれません。

それでも、理論は企業が取るべき戦略を考える指針となり、ビジネスの成功率を向上する助けとなります。成功の再現可能性を改善し、失敗を減らすことができます。したがって、実務者にとってもイノベーションの理論は学ぶ価値があるだろうと思うのです。

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