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読書メモ:『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』 ~大企業病とアントレプレナーシップ

2011年01月06日 06:13

ソニーでVAIO・スゴ録・コクーンなどのヒット商品を主導した後に退社、その後グーグル日本法人社長を3年間務めた辻野氏の本『グーグルで必要なことは、みんなソニーが教えてくれた』。辻野氏のこれまでのキャリアを振り返る中で、度々言及されるアップルを加えた3社について、ビジネススタイルや社内の様子を垣間見られる内容になっています。



辻野氏はソニーを22年勤めた後に退社していますが、表現の一つ一つに「ソニー愛」が感じられ、だからこそ、現在のソニーを強く憂う気持ちが伝わってきます。「現在のソニー」とは、どういう会社なのでしょうか。本の中では、上層部の権力闘争によるマネジメントの混乱、セクショナリズムの横行、革新的な製品を生み出す姿勢の欠如、ネットワーク時代への対応を遅れさせた低い情報感度といった問題が、具体的なストーリーの中で語られています。

いわゆる、大企業病なのでしょう。

上に書いた様々な問題点は、大企業病の典型的な「症状」です。私は、その症状を引き起こしている根本的な「原因」は、アントレプレナーシップの欠如だと考えています。

私の通うバブソン大学のアントレプレナーシップの定義(の一つ)は、①機会を捉えて行動に移す姿勢、②物事を全体として(総合的に)捉える視点、③リーダーシップとされています(単にベンチャー起業する、という意味ではないのです)。先のソニーの問題点と照らし合わせれば、これら①~③が欠如していることが、様々な症状に繋がっているのが分かると思います。

ソニーといえば、日本が世界に誇る、というレベルを超えて、世界でも稀有なアントレプレナーシップを持って、革新的で生活スタイルすら変えてしまうような製品を生み出し続けてきた会社です。先日読書メモをアップした『イノベーションのジレンマ』でも、クリステンセン教授は自身の言う「破壊的イノベーション」を1社が複数回起こすことは極めてまれで、その数少ない例外としてソニーを真っ先に挙げているくらいです。

vaio
[愛用のVAIO Z]

そんなソニーですら、なぜアントレプレナーシップ(言い換えればソニースピリット。有名な設立趣意書はまさにアントレ精神の塊)を失ってしまったのか。また、多くの成功した企業も、なぜ同じような状況に陥ってしまうのか。

それに答えるヒントは、企業30年説にありそうです。

この説にはいくつかの解釈がありますが、その一つは創業者にあります。創業者が30歳台で会社を立ち上げたとして、起業してから急成長するにあたっては、先のアントレプレナーとしての姿勢を創業者が示し、会社もそれに共感する社員で構成されています。それが後の安定成長期を経て、成熟期を迎えるころ、創業者は50歳~60歳台で徐々に時代の感度が鈍ってくる年齢です(もちろん個人差はあるでしょうが)。過去を否定してでも、機会を捉えて行動に移すアグレッシブな姿勢を持ち続けることも難しくなってきます。

ここで経営のバトンタッチが必要になるのですが、これもまた難しい課題です。まず、後継者は創業者ではないので、創業したというカリスマなしにリーダーシップを発揮しなければなりません。ここでリーダーシップを発揮できなければ、例え後継者がアントレプレナーシップとビジョンを備えた人物であったとしても、企業を力強く率いていくのは難しくなります。ソニーの出井氏は、この点で苦戦したと言われています。

また、後継者にとってその企業は「受け継いだ」会社であるので、どうしても安全運転、安定成長を意識してしまいがちです。ファーストリテイリングは、(実質的な)創業者の柳井氏が早期に会長に退き、社長を若い玉塚氏に譲りましたが、その経営が安定志向すぎるということで、結局社長職に復帰しました。他の、サラリーマン社長と言われる経営者であれば、そして前任者が会長職で影響力を保持し続けるなら、なおさら保守的な経営になってしまいがちなのは、よく言われるところです。

ここまで経営者に焦点を当てて書いてきましたが、従業員もベンチャー時代に理念に共感して入ってきた年代と、安定した大企業になってから入社した年代ではマインドが違ってきます。会社が過去に築いたビジネスモデルに沿って収益を上げてきただけなのに、それを勘違いしてしまうミドルや経営陣も現れてきます。

これからMBA1年目の後半に入りますが、私のテーマの一つはここにあります。つまり、アントレプレナーシップをキーワードに、既存企業の再活性化を考えていくつもりです。

今読んでいる、下の『Corporate Entrepereneurship』は、まさにこのテーマを追求した一冊です。読み終わったら、またブログで紹介する予定です。



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