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電子書籍時代がやってきた。その影響は?

2010年11月24日 12:14

先週Kindle DXを購入して、私もいよいよ電子書籍時代に足を踏み入れた感があります。私の大学の友人でも、iPadやiPhoneを使って本や文章を読む人が散見されるようになってきました。

既に電子メールやWEBページ、SNS等を通して、ディスプレイを通して文章を読む量がかなりの量に上っているのですが、いわゆる出版物を電子媒体で読むようになったのは変化と言っていいと思います。

また、1か月ほど前に米Amazonが『Kindle Singles』という新しいカテゴリの電子書籍販売を準備中であることを発表しました。数十ページ程度、つまり既存の単行本より短く、雑誌特集記事より長い文章を売り出すというものです。

photo_convert_20101124115312.jpg
[Kindle DX。(今さらかもしれませんが)後日レビューする予定]

いよいよ出版を取り巻く状況が大きく変わり始めたのを感じている方も多いのではないでしょうか。そこで、私なりに今後の変化を予想してみました。

1.出版業界の競争激化、出版社の淘汰

活字離れと言われつつも、再販制度にも支えられて長らく安定していた出版業界は、根本から存在意義を問われることになります。

出版社の存在意義は、「①作家/著者の発掘」「②企画」「③編集(作家/著者へのアドバイス)」「④広告」「⑤印刷」「⑥流通」に大別できそうです。このうち、①~④は電子書籍が主流になっても必要とされるもので、より良いコンテンツを創るための業務です。一方で、⑤は電子書籍では不要となってしまいますが、ここはもともと印刷会社に外注しているでしょうから、特に影響はないでしょう。

問題は⑥です。これまでの出版業界は、この⑥が参入障壁となってきました。大手出版社でなければ、それなりの書籍数を全国の書店に広く流通させることが難しいからです。これが電子書籍では、誰かが作ったプラットホームにコンテンツをアップロードしてしまえば、それで済んでしまいます。

つまり、今後、出版社は参入が容易となった競争市場の中で、どれだけ優れたコンテンツを生み出す力があるかの真価を問われることになります。そこで価値を生み出せない出版社は淘汰されるのでしょう。

また出版取次や印刷所といった業態も、このままだと存在価値を失います。

2.独立系編集者の増加

1と関連して、流通機能がコモディティ化することで大手出版社にいる意味がなくなった優秀な編集者の独立が増えるのではないでしょうか。

3.プロ-アマの垣根が曖昧に

出版のコストが低下、特に固定費(印刷・流通)が大幅に削減されることから、出版のハードルが下がります。編集者を入れず、プロモーションを行わないのであれば、作者・著者本人の人件費と電子出版のシステム料金(売り上げ連動が主と想定)くらいで済みます。

また、1で書いたように、「本1冊を成立させる分量」というハードルがなくなるので、きらりと光る一点突破型の出版も可能になります。以上から、セミプロやアマチュアによる出版が増えると想定しています。

4.出版物の短文化

これまでは書籍の印刷および流通にかかるコストが高かったため、書籍の単価は一定以上でないと利益が出ない構造でした。これらのコストが電子化で極めて小さくなるので、低単価でも利益が出やすくなります。結果として、これまでのように、単行本(あるいは新書)の分量にするために、少ない内容を無理やり水増しして出版するということが減ると思われます。

よって、これから数百円台、数十ページ単位の書籍が増えるのではないでしょうか。実際に日本のケータイやスマートフォン向け電子書籍はこのような動きになっています。Amazonの『Kindle Singles』はまさにこの方向に沿っています。

個人的には、流通コストによって書籍の内容が希薄化されることがなくなって、コンテンツとしての魅力が増すのは大歓迎です。無理に引き伸ばされたり繰り返しになっているのは、読んでいて簡単に分かりますからね。

また、本というメディアが、ネットやゲーム等といった他のメディアと消費者の時間の奪い合いをしているという現状も、読者に負担が少ない短編の出版に追い風です。

もちろん、従来通りしっかりした分量で出版する本格的な著作物も、ある程度は残っていくでしょう。

5.出版物の連作化

これまでの書籍に比べ、一度買ってくれた読者へのアプローチが容易になり、読者もいちいち書店に足を運ばなくても書籍を購入できるようになるので、全ての内容を詰め込んだ分厚い本を出版するのでなく、連作という形で徐々に出版する形態が増えるのではないでしょうか。

これはモデルとしては有料メルマガに近いです。都度購入か定期購読かという話はありますが、出版側と読者の接点が一度ではなく、継続的になっていくという流れは共通しています。

6.リアル書店の減少

アメリカのCDショップ、DVDレンタル業界は、AmazonやNetflixに代表されるネット販売の拡大により、壊滅的な打撃を受けました。今後、同様なことが書店にも起こる可能性が高いです。

リアル書店の利点としては、一覧性があります。自分が目的とする本を買うだけでなく、関連する分野の本や、全く別の本を来店した機会に顧客の目に触れさせて、販売を促進することができます。しかしながら、この方法で読者を引き留められるのは、大都市にある一部の大型書店に限られると考えています。なぜならネット側には、ユーザーレビューや、関連する書籍のレコメンド機能といったリアル店舗にない利点があり、リアル店舗の優位性は相殺されるからです。

7.その他

電子書籍端末の進化と連動して動画や音楽との融合が進んだり、インタラクティブ/ソーシャルな機能が付与されることなどが考えられそうです。

photo(2)_convert_20101124115502.jpg
[BORDERSは米国で2番目に大きい書店チェーン。CD/DVDも販売]

このように、書籍の電子化という、本来であれば文章の器の進化が、出版業界の構造変化といったビジネス面だけでなく、出版に関わる人の働き方や、本の中身(=コンテンツ)まで影響を受けることになりそうです。コンテンツ業界では、音楽や映像に続く形での大きな変化になりますので、引き続き注目していきます。

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