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未来の市場について考えてみる(その1)

2010年10月03日 03:35

中国経済が好調です。MBAの授業でも躍進する中国経済は重要トピックですし、最近はMITが中国との今後の取り組みについてレポートを発表するなど、世界経済の未来は中国と共にあり、という雰囲気です。そして日本企業が生産拠点として、市場として、日本市場での消費者(旅行者)として中国に大きな期待(依存)をしていることも、最近のいざこざを契機に大きく報じられました。

一方、授業における日本はというと、70年代から80年代にかけて米国市場を席巻し、米国企業・経済を危機に陥れた存在として出てくることが多いようです。私も先日GEのジャック・ウェルチについてのケーススタディがありましたが、80年代におけるGEのタフコンペティター、学ぶべきものがある存在として日本企業が描かれていました。

そんな中、思います。今の中国に対する世界のまなざしは、80年代の日本に対するものとかなり似ているんじゃないかと。そして、80年代にジャパン・アズ・ナンバーワンとまで言われた日本が現在のような状況に陥ると誰が思ったんだろう当時の長期GDP予測はどうだったのだろう、と。きっと当時は近いうちに日本がアメリカを抜くなんて、まことしやかに語られていたのでしょう。日本の社会構造、日本人の気質、全て良い方向に解釈され、世界が脅威に感じた時代。。



そこで問題意識。では、今、中国に対して向けられている視線に、どこか冷静さを欠いたところはないか?もし、そこに落とし穴があれば、そこに依存した者(国・企業)も大きな痛手を受けるはずだが、依存している者はそのリスクをきちんと理解して、他の選択肢と比較した上で、中国依存を選んでいるだろうか?

先に書いておきますが、中国批判ではありません。ある種のdevil's advocateを通じて、より深く理解しようと努めたメモです。バブソンの中国からの留学生もみんな勤勉でナイスガイですしね。

前置きが長くなりましたが、下のグラフは、前回記事でクイズとして出したX国=中国の生産年齢人口が全人口に占める比率です。
中国生産年齢人口
[出所]この記事のグラフは全てWorld Population Prospects -The 2008 Revision (United Nation)からback_slang作成
[注]一般的には生産年齢人口は15-64歳ですが、今回は15-59歳で計算しています。

グラフを見ると一目瞭然なのですが、今年は中国にとって一つの転換点となります。つまり、過去30年以上にわたって続いてきた生産年齢人口比率の増加局面が終わり、今後は減少に転じます。何が起こっているか?過去の増加は、中国政府が採用してきた一人っ子政策の影響で子供の人口が減少したことが原因です。一方、これからの減少は、その反動が原因です。
中国高齢化
これまで30年強にわたって続いてきた生産年齢人口比の増加(多い状態)を「人口ボーナス」と言います。この期間中は、豊富な労働力、少ない社会(扶養)負担、高い貯蓄率による投資原資の確保など、経済発展に有利な要因が揃います。このことは近年の中国経済の高度成長にも大きく寄与してきたと考えられます。

この人口ボーナスは途上国型の「多産多死」社会から、先進国型の「少産少死」社会に人口構成が変化する際に起こるので、中国だけに特別起こっている現象ではありません。ただし、中国においては2つの点で特徴があります。

まず一つ目は「人口ボーナスが発生し、そして消失していくスピードが速い」ということです。少子化が自然な社会の変化によってもたらされたのではなく、政策的に行われたことが原因です。そして、もう一つは「先進国になる前に高齢化が始まる」ことです。

下の2つのグラフを見てください。
日本生産年齢人口推移

韓国生産年齢人口推移
[実は韓国の高齢化スピードもかなり凄まじい]

日本と韓国は、共に高度経済成長期から安定成長期を経て、一人当たりGDPが先進国並みとなった後に、生産年齢人口比率が低下し始めます。一方、中国はグラフの「高原部分」がほとんどなく、一人当たりGDPが先進国並みになる前に比率の低下が始まります。つまり、これまで年を追うごとに人口ボーナスの恩恵が大きくなっていたのが、今後は年々追い風が弱くなっていくことになります。

当然、中国政府はこれを十分に認識しています。人口動態のみが経済成長を決めるわけではないとはいえ、これまでのような豊富で安価な労働力と安い社会福祉コストを背景にした経済成長から、経済の高度化による生産性の向上に成長エンジンの構造をシフトしていく戦略を取るのは必然です。そのために必要なのは、技術であり資源であり優秀な人材です。

人口ボーナスが利いていて、安い通貨を維持でき、他国の積極的な投資が期待できる今後10年から20年の間にこれらを手に入れなければ、二度と(一人当たりGDPにおいて)先進国になるチャンスが失われてしまうかもしれません。高齢化してしまった社会で経済のパイを拡大させるのは容易ではないからです。また、アメリカやEUの一部の国が取っているような移民受入れによる若年・安価な労働力の確保は、中国の場合は母数となる人口が多すぎて有効ではなさそうです。そう考えると中国政府の「焦り」が垣間見えてくるような気もしてきます。

次回からは、予告のY国や別の大陸の話、黒鳥の話の予定です。数回かかる見込みです。。

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