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品質・サービスレベルに対する考え方の日米比較(後編)

2010年09月12日 14:10

前回エントリーで比較した軸のうち、(MBAブログなので)「企業」についてもう少し掘り下げてみます。

日本企業が、「高品質・多機能ゆえの高コスト・高価格」という特徴を、これからも維持していくことになるかというと、私は近々転機がやってくると考えています。つまり、費用対効果ともっと真剣に向き合う必要性に迫られるということです。

変化の発端は消費者からやってきます。これまでの日本の消費者は、「多少高くても、とりあえず良いもの(使うか分からないけど多機能で、違いは分らないけどテレビでCMしている有名メーカーの製品)」を買う傾向がありました。それを可能にしていたのは、高度成長期以降の賃金の上昇に伴う経済的な余裕です。

しかし、人々の経済環境は悪化の一途です。総務省の調査によると、1世帯当たりの実収入は1997年を境に10%以上減少しています。日本経済の構造的な問題を考えると、この傾向は継続すると思われます。収入が減少した消費者は、これまで以上に、商品の価値と価格のバランスを厳しくチェックするようになるでしょう。(余談:米国アマゾンの家電製品等のレビューを読むと、日本に比べてこのバランスをよく見ている印象を受けます)

[日本の携帯電話(写真はやや古いモデル)。どんどん多機能化した結果、ほとんどの人が
使わない機能も多数(プロジェクターとして使う場面って?体脂肪計と連動??]
photo(3)_20100912135423.jpg

ここまでが需要側の話で、次に供給側、つまり企業の話です。まず過去~現在において、なぜ日本企業は「高コスト&多機能・高品質路線」を採用してきたのでしょうか。一つは、既に書いたような消費者のニーズに対応した結果ですが、もう一つは企業の内部プロセスの問題ではないかと思うのです。

日本企業はボトムアップの力が強いので、商品やサービスを企画する際に各部門・担当から組み込んでほしい機能・要素がどんどん上がってきます。そこまでは良いことだと思います。その次に、望ましい水準にまで機能を絞り込む作業に入るのですが、絞り込み作業というのは、上がってきている機能・要望に優先順位を付けて、低いものを切り捨てることを意味します。つまり、全ての関係者にいい顔はできません。なので、誰かが責任を持って決定し、リーダーシップを発揮して実行すべき場面です。しかし、往々にして日本企業は責任の所在が不明確で、リーダーシップが発揮されない。

[BOSEのiPod用スピーカー:本体ボタンは音量大小のみ。機能を絞って、音質とデザインに価値を集中]
photo(4).jpg

正しい優先順位をつけて費用対効果を判断する責任が不明確であれば、関係者は機能を残す方に動きやすい。なぜなら、機能を削除すると、切り捨てたものが明確で、その判断に問題があれば責任を問われる可能性があるからです。また、なぜその機能を削除するか、理由を用意して社内調整を行うという、面倒な仕事もやらなければならなくなってしまいます。一方、機能を残した場合は、全体のコストが少し上昇するという曖昧なマイナスが発生するだけなので、責任問題を回避できます。関係者に嫌われることもありません。その結果、高コスト&高機能の商品・サービスができあがります。機能を中心に書きましたが、品質レベルでも話は同じです。また、情報システム開発でも、取りまとめ役(主にシステム部門)の力が弱いと、機能が膨張して高コストになりがちです。

商品・サービスのコンセプトを定義し、それに応じた優先順位(判断基準)を設定して、ターゲットとする顧客にとって最適な価格と機能・品質のバランスを備えた商品を開発するには、企業内の責任の明確化とリーダーシップが必要です。これを実現できた企業が、これからの市場をリードしていくのではないでしょうか。

(追記)
「イノベーション」と「カイゼン」の観点から、日本商品のオーバースペックを論じたちきりんさんの記事はこちら。私は今回、内部プロセスの話を書きましたが、それ以外にもいくつか要素があると思います。

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