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グローバル展開する日本企業が日本型組織を捨てなければいけない理由

2013年02月11日 13:42

日本企業がグローバル化するにあたって必ず海外で直面する、組織構造の選択という課題について、米国企業と日本企業を比較しつつ、考えを簡潔にまとめてみようと思う。対象としては大企業を意識している。

米国企業の組織はまさに積み木で作った巨大な構造物のようなイメージだ。様々な形をしたブロックを組み合わせて、求める形を作っていく。組織の長としての経営者の役割は、組織構造・レポートラインと、それが機能するようなインセンティブ設計を適切に設計し、よくできたレゴ作品のように強固な組織を作ることである。設計は慎重にしないといけない。ブロックには柔軟性がなく、設計ミスによってできた隙間を自然と埋めるような柔軟性はない。

一つ一つの積み木の形はJob Descriptionで規定されていて、企業と社員の間で明示的に合意される。積み木の形が先に決まっていて、それに合った人材を採用するという方式なので、人の入れ替えは比較的容易である。米国の雇用形態がAt-will Employmentと呼ばれる解雇自由な制度となっているのは、これとリンクしている。ま、そんなこともあって、社員が自分のボスに気を使う度合いが日本の比でないのは自然な成り行きである。だって嫌われたら、明日には席がないかもしれないんだから。

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一方の日本企業の組織構造を端的に表現するのは、米国企業よりずっと難しい。日本の典型的大企業がHPに載せている組織図というのが必ずしも本質を表現していない、というのは、飲み屋での「うちの会社、毎年組織変更してるから、もうどうなってるのか分からないよね(でも仕事に大して影響ないように感じる)」なんていう会話が象徴している。社員個人レベルの話だと、Job Descriptionなんて、「何?それって美味しいの?」の世界である。

とはいえ、それが(問題を抱えつつも)機能しているのは、個々の社員がある程度自律的に仕事内容を規定・変更・調整するからである。「それは私の仕事じゃない」という発言は、本来はそうであったとしても、本人の信用を傷つける。末端の一社員であっても、部署全体、できれば会社全体を考えて、成すべきことを判断していくことが暗黙のうちに求められる。ユニクロの柳井氏が「全員経営」を掲げているのは、これの強みを明確に理解した上で強調する行為である。

話が少しそれるが、日本企業が新卒採用時に大学で身に付けた知識・スキルを問わずに、人間力()みたいなものでポテンシャル採用するのは、その後の仕事内容を明確に定義できないからである。

では、日本企業がグローバル化するにあたって、米国型か日本型のどちらが適しているか。(もちろん世の中には他の型もある)

僕は、言うまでもなく米国型だと思う。理由は単純。日本企業の微妙な組織の成り立ちを日本以外で育った人達が理解できるとは思えないし、また、流動的な人材市場にも不向きだからである。当たり前な話ですいません。

米国礼賛ではない。米国ビジネスパーソンの思考形式には、僕にとっては、合理的だとは思えるが、価値観として美学として共感できない要素が少なからず含まれている。こうはなりたくない、と感じるようなこともある。それは僕が日本企業組織における「考えるビジネスパーソン」に誇りのような感情を持っているからだ。

それでも(x2)、日本流の組織論というのは、少しテイストとして残すくらいで、あとは現地の人に受け入れられやすく、機能する方式を米国型をベースに考えるのが、多くの場合は最適解になる、というのが僕の現時点での考えだ。

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