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グーグルのイノベーション・モデルは失敗に終わったのか?

2012年03月18日 06:10

私は、多くの人と同様に、グーグルの様々なサービスのお世話になってます。検索はもちろん、プライベートのメールはずっとGmailだし、マップも日常的に使うし、Youtubeはもちろん、写真等のデータ保存用に微々たる金額ながらも有料で保存容量を拡張しています。

昨年グーグルのキャンパス(オフィスのこと)を訪れた際にも、お忙しい中、社員の方に丁寧に案内してもらいました。(当時の記事:シリコンバレー企業に見る企業の成長ステージ ~TwitterからFacebook、そしてGoogleへ

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グーグルはイノベーティブな会社の代名詞であり、IT業界で働く者として憧れの的であり続けてきました。しかし、最近は賞賛一色だったトーンにも変化の兆しが見え始めており、私も少し厳しい見方もするようになってきました。今日はその辺りを書いてみます。

先日ゴールドマン・サックスを辞職した幹部がニューヨーク・タイムズに寄稿した古巣批判の文章が話題になりましたが、同じ頃、グーグルを去った幹部による、このようなブログも話題になりました。

Why I left Google (原文 | 日本語訳)

ごく簡単に言うと、グーグルがフェイスブックに対抗するためにSNSに経営資源を集中する方針を明確化した結果、以前ほど自由にやれなくなった、というのが辞職の理由です。

これを読んで、私はかなり違和感を感じました。例えばこの部分。

広告収入のお陰で我々には思考・技術革新・創作に励む頭の余裕があったし、App Engine、Google Labsのようなフォーラムとオープンソースを土台に我々なりの発明をすることができた。それもこれも全部広告の金で賄われてるとは誰も意識してなかった

グーグルは事業別収入を明らかにしていませんが、未だに大部分が検索や他のサービスに連動して表示される広告からの収入と言われています。ワイテカー氏は、エンジニアは革新的なサービスを生み出すことに集中して、お金のことなど考えて来なかったのを誇らしく、そして理想的に語っています。私もそういうエンジニア魂は理解できるところもありますが、あまりにもナイーブ過ぎる印象も受けます。

今でも収益の大部分が検索連動広告であるならば、自由な社風からイノベーションの種は生み出されたかもしれませんが、ほとんどがビジネスとして大きく花開くところまで至らなかったということです。(MBA的に言い換えるとValue Creationはある程度できているが、Value Captureできていない)

そもそも彼が「イノベーション製造マシン」と呼ぶグーグルが生み出してきた「コンテンツ」のどれだけが、グーグル内部から生み出されてきたのでしょうか?確かにGmailは内部から生み出された革新的コンテンツです。しかし、Maps、Youtube、Docs、Picasa等は、全てグーグル外のベンチャー企業を買収することによってスタートしています。もちろん、元のアイデア・プロダクトを洗練させていく作業でグーグル社員の多大な貢献があっただろうことは想像できますが、それはイノベーションと言うよりカイゼンという方が近いように思えます。

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グーグルはコーポレート・アントレプレナーシップ、イノベーションのショールームでした。最優秀な人材を大量に採用し、想像力を刺激するような最上のオフィス環境を提供し、有名な20%ルールで自由な環境における個人の創造力を信じ、そこから生まれたプロジェクトにコーポレート・ベンチャー・キャピタル的に(広告収入で稼いだ)キャッシュを投資してきました。グーグルの昨年のR&D費用は約50億ドル(4000億円)で売上の13%に達します。

しかし、その結果として、社内から革新的な「コンテンツ」が生み出され、それがグーグルの収益に大きな貢献をするようになったかというと、微妙なのではないでしょうか?少なくとも外から見ている限りでは。

コーポレート・アントレプレナーシップで頻繁に出てくる話に、「新事業と、会社の戦略との整合性を考えよ」があります。会社の現在の事業と一致している必要はないのですが、戦略に沿ったものでないと上手く行かないということです。グーグルの場合は、どうだったのでしょうか?

長く続いた一面的なグーグル礼賛をそろそろお終いにして、冷静な検証に入るタイミングなのかなと思う今日この頃です。ただ、僭越にも厳しい書き方をしましたが、私はグーグルを批判するつもりはなく、むしろ「グーグルをもってしてもか…」という心境です。

(補足)引用したブログで言及されている「コンテンツ」に焦点を当てたので、クラウド関連については、意図的に触れていません。いずれにしても、クラウド関連は検索から派生した技術開発なので、今回のエントリーで語っているコーポレート・アントレ/イノベーションの観点からは、とりあえず置いておいていいかなと考えました。


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