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読書メモ:『スティーブ・ジョブズ』 ~「規格外」を受け入れる社会・組織とイノベーション

2012年01月29日 04:04

言わずと知れた去年のベストセラー本。

 
 
[上段左から日本語版I、Ⅱ、下段が日本アマゾンでの洋書(洋書は1冊で完結)、米国アマゾンのハードカバー。私が買った米国キンドル版は約14ドル=約1100円。1Q84もそうだったけど、結構な価格差。英語の文章は結構平易なので、節約したい人は英語版もアリかと。]

彼の軌跡については仕事柄そこそこ知っていた上に、ビジネススクールに入ってからアップルネタは耳タコ、最後は亡くなってからのブームで結構細かいエピソードまで勝手に耳に飛び込んできたので、あらかじめどの辺の話を読むか狙いを定めておいて、他はさらっと流すように読んだ。

読み始めて改めて感じたのは、彼の凄さ。何が凄いかというと、その変人ぶりである。AppleⅡ発売の頃までのくだりで、ジョブズが投資家初め多くの人に対面するシーンでは、大抵「裸足」「汚い恰好」「奇妙な食習慣による痩せっぷり」「週一しか風呂に入らないことによる強烈な匂い」あたりが第一印象になっている。対人関係もこれに負けない。気に入らない相手を平然と罵倒しまくる(※TechCrunchの記事によると、"shit""sucks"で罵倒したシーンが本文中で24回w)かと思えば、自分の思うようにならないとすぐ泣きわめく。共同経営者にすら嘘をつく。ウォズニアックはじめ一緒に働いていた人達にとっては、本当にたまったものじゃなかったと思う。

ジョブズがペプシコから招聘したスカリーによってアップルから追放された、という部分も、この本を読むまでは、私はジョブズに同情的だった。隙だらけのジョブズが、一枚上手のスカリーに陥れられたというような認識だった。しかし、詳しく経緯を読んでみると、ジョブズに同情的だった他の取締役を含めて皆がかばい切れなくなった、という表現の方が現実に近いようだ。

とはいえ、周知の通り、歴史に残る革新的な製品を次々と生み出した稀有な才能の片鱗をジョブズが早くから見せていたのも事実である。理解ある寛容な大人や、リスクを取って彼に賭けた投資家・取引先、そして少なくない幸運に助けられて、その才能が花開いた。私はこんな変人の才能を、殺すことなく育てた環境にも注目したい。

シリコンバレーには多様な価値観を持つ投資家がおり、その中からジョブズの才能を見出し、支援する人が出てきた。では大企業においてはどうだろうか?

多くの「ちゃんととした」企業には、それなりに統一されたビジョン、戦略、事業計画があり、資源配分はそれに基づいて行われる。これは経営環境として先がある程度見えていて、効率性が重要な状況であれば、合理的である。しかし、この統一されているというのが厄介で、この価値観にそぐわない、あるいは想定していないアイデアや才能は排除するように機能してしまう。よって「ちゃんとした」企業でイノベーションは起こり辛くなる。

大企業がこれを乗り越えるケースには、いくつかのパターンがあるように思う。

一つは、アップルにおけるジョブズのように製品・サービスの詳細レベルまで深く関与するトップに先導されて、イノベーションが起こるパターン。流通業でも、これが多いように思う。

もう一つは組織が「遊び」を許容する文化を持っており、そこからイノベーションが起こるパターン。かつてソニーの技術者が業務外の研究をする中で、革新的な技術を開発したようなもの。グーグルの20%ルールは、それを形式化したものである。こちらもトップの強いリーダーシップは重要である。ある意味「非効率な」文化や革新の芽を外部の圧力から守っていく必要があるからである。

いずれにせよ、大企業のイノベーションとリーダーシップには強い相関があると、最近特に感じている。この本は事実を丁寧に積み上げて書かれているので、その点でも参考になった。

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