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読書メモ:『OPEN INNOVATION -ハーバード流イノベーション戦略の全て』

2012年01月08日 08:47



最近、にわかに周囲でオープン・イノベーションに関する話が多くなってきたので読み返しました。2003年つまり9年前の著作です。簡単に要約します。

20世紀に標準的であった、大企業が中央研究所を作って、そこで開発された技術を基に新製品を開発するモデル(=クローズド・イノベーション)が効率的な方法ではなくなってきた。

その理由は、①優秀な知的労働者が増加し、かつ流動化した。これにより知識が企業内研究所のみに保有されている状態から、世の中に広く存在するようになった。雇用流動化により、専門知識を持った人材をベンチャー企業も雇えるようになった。②ベンチャーキャピタルが登場し、アイデアを持った起業家が資金的な支援を受けられるようになり、革新的なベンチャーが多数生まれるようになった。③新技術が所属企業で速やかに商品化されなかった場合は、研究者が退職して起業するようになった、の3点である。これらにより、大企業の外にもイノベーションのための資源が豊富に存在するようになった。

この新しい環境の中で、新製品をより早くマーケットに出すプレッシャーを受けている大企業が行うべきことは、これまでのように自前の人材・技術のみに頼るのではなく、企業内部と外部のアイデアを有機的に結合させ、新製品を開発する、つまり価値を生み出すことである(=オープン・イノベーション)。また、企業内部で生まれたアイデアは、自社の既存ビジネスで利用するだけでなく、そのアイデアでスピンオフ企業を設立する、他社にライセンス供与する等の使い道を積極的に考えるべきである。


商品・サービスがより複雑になる一方で素早く新製品を出し続けることが求められる現在のビジネス環境においては、オープン・イノベーションのメリットは大きく、実際に多くの企業がこのモデルを採用するようになってきています。もちろん、垂直統合型でクローズドな開発プロセスの代表例であるアップルが成功しているように、オープン・イノベーションがクローズドに対して絶対的に優れているわけではありません。しかし、そのアップルもiPhoneアプリではオープンな戦略を採用するなど、米国では一般的な戦略となりました。

米国企業と比較して日本企業は今でもクローズド・イノベーションモデルに近いスタイルが多いように思えます。その理由として、今でも自前主義の意識が強いという内的要因と共に、雇用の流動化が進んでいないため大企業が引き続き優秀な研究者を抱えており、結果としてベンチャー企業の力が弱いという外的要因も挙げられそうです。外に頼れるリソースが少ないので、大企業は自前での研究開発を強いられてしまう。しかし、スピンオフがまだ多くない現状では、大企業で開発されたが商品化されなかった技術の多くが、ただ死んでいくことになり、投資対効果は低くなってしまいます。

ここでも雇用の流動化を促進するような政策が強く望まれるところですが、現実が逆方向に向かっている中、企業としてはそれを待つことはできません。したがって、日本の大企業がすべき事は、日本のベンチャー企業だけでなく海外のベンチャー企業の技術・アイデアに関する情報を積極的にキャッチし、オープンに受け入れると共に、自社内で開発されたが既存事業にフィットしない技術・アイデアをライセンシングやスピンオフにより有効活用する内部プロセスを構築することなのでしょう。今では、現実にこの路線に舵を切っている企業も少なからずあります。

最後におまけで一言。原書の副題は「The New Imperative For Creating and Profiting From Technology」つまり「技術を生み出し、そこから利益を得るための新しいルール」という感じなのですが、日本語版は「ハーバード流イノベーション戦略のすべて」。現実問題としてこういうタイトルの方が売れるのかもしれませんが、何とも陳腐な印象です。「すべて」って…。内容がちゃんとした本なので、タイトルもカッコ良くあって欲しいと思うのはスノッブすぎる意見でしょうか?

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