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カンファレンス主催を肴にリーダーシップについて考えてみる

2011年11月29日 23:57

4月から準備してきた「アジアxアントレ」をテーマにしたビジネスカンファレンスを、多くの方々のご協力のおかげで先月無事に開催することができました。自分としては合格点を出せる内容だったと感じていますし、準備する過程で得られるものも多かったので、大変でしたが非常に満足度の高い経験となりました。そして、この後いろいろ書くのですが、チームメンバーと共に苦労しながら一つのモノ作りが出来たのは、良い思い出になりました。

カンファレンスの準備チームは主要メンバー8名で、日本・中国・台湾・韓国・タイ人留学生とアジア系米国人からなる多国籍チーム。私は、言いだしっぺ兼共同委員長(Co-Chair)という立場でした。8人が準備委員会を組織して、その共同委員長を、私と中国人同級生がつとめるという建てつけです(実際にはこの同級生がインターンその他で多忙になったことから担当部門に専念することになり、途中から事実上の「委員長ひとり」状態になった)。終盤はこれに加えてアジアビジネスクラブのメンバーや、他クラブ、学部生等も準備を手伝ってくれました。

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ということで、日本語で書くと特にエラそうでアレなのですが、リーダーシップという観点で感想を書いてみますここでのリーダー(シップ)とは、メンバーとの上下関係ではなく、一つの役割として捉えてください。

カンファレンス準備の序盤~中盤の過程は、様々なMBAで開催されているイベントで発生していると思われるテンプレに沿った軌跡を描きました。つまり、こういうことです。

ステップ1.チームを組織し、行動開始。皆、職務経験も積んだMBAの学生なので、メンバーの自主性を活かした運営を試みる。その方が創造的だし、生産的なはず!

ステップ2.各所でスケジュール遅延が発生。MBA学生は忙しい。授業に予習、インターンにネットワーキング(という名のxxx)。イベント準備を後回しにする理由には事欠かない。それでも同級生なんだから、あれこれ細かく指図するのもちょっとね…。

ステップ3.いくつかのパートで順調に状況悪化。イベントの質の低下や開催自体を危うくしかねない深刻な遅延に。それが他の部門の進捗にも目に見えて影響し始める。そういう時に限って、担当者は危機感を感じてなかったりする(大事なメールの返事を待ってると、タイミング良く本人がFBに週末旅行の写真をUP!とか)。進捗を見える化するも、結局きちんと更新するのは遅延していない部門の人だったり。


実際のところ、私としてはこの状況は想定の範囲内ではありました。というのは、今回のカンファレンスでは自分なりに実験をしてみて、うまくいかなければ方向転換しようと考えていたからです。

私は日本ではシステム開発やサービス開発のプロジェクトをやっていたのですが、大企業のミッションクリティカルで期限もはっきりしているビジネスだったので、どうしても安全第一に堅く運営する方を選ぶ必要がありました。その結果、自分のスタイルも管理型という認識がありました。

一方、アメリカ、特にアントレを重視するMBAに留学して、より柔軟なプロセスで(マネージというより)ファシリテートしながらゴールに向かうスタイルも身に付けたいと考えていました。また多様なバックグランドを持つチームではこの方が適しているはずだという思いもありました。ということで、この機会を使って、自分としては不慣れなスタイルを試していました。以前にも書きましたが、MBAは所詮ままごとでもあるので、その守られたリスクの無い環境でチャレンジしていたということです。

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とはいえ、今回のカンファレンスには1万ドルを超える予算も、多忙な中、登壇を決めてくれたスピーカーやパネリストの方々もいるので、当然ながら「ままごとなので失敗しました」という訳にもいきません。9月に入ってしばらくしてステップ3の状態だったので、残念ながら実験は一部中止してプランBに切り替えました。まず、順調に進んでいた部門(マーケティング等)はそのままのびのびと動いてもらうことにして、私は障害物を取り除くことに集中。一方、やばい部門については、私が積極的に介入する方針に変更。一部を肩代わりしたり、比較的余裕のあるメンバーをヘルプにアサインしたり、夜中0時以降までマンツーマンで進捗と行動計画確認の打合せをしたり。結構、力技も使いました。あと、手薄な部門に頼れる助っ人をスカウト。

結果、手前味噌風味で恐縮なのですが、メンバーの終盤の奮闘もあり、割と良いカンファレンスになったと思います。もちろん第1回ということもあり、まだまだ改善の余地は沢山あるのですが、スピーカーや参加者の方々から好意的なフィードバックを頂くことができました。

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ということで、教訓めいたものをいくつか。

まず、自主性を重視したチーム運営の失敗について。もちろん私の力不足もあるのですが、それだけではないと感じています。私の現時点での意見は、「ファシリテート、インスパイアだけで前に進む組織は理想的ではあるが、現実的にはまれ。実現するためには、①最初から能力・モチベーションの両面で超強力なメンバーのみでチームを構成する、②魅力的なインセンティブ(金銭等)を提示する、③アウトプットが低いメンバーを入れ替える、のうち最低どれか1つが必要」です。つまり、優れたベンチャー企業のような要件を満たす必要があるということです。

もちろん、チームにビジョンを示し、苦しい時に鼓舞し、チームワークを促進するような力を過小評価するつもりはありません。しかし、それだけを武器にして自主性に任せた組織運営を、一定のスピードと品質が求められるプロジェクトや事業においてうまく回すのはとても難しいということです。

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ではどうすれば良いのか?バブソンの大型カンファレンス(3日間、スピーカー70名!、運営委員39名)で共同委員長を務めていた米国人同級生(ナイスガイ)の振り返りから。彼も上記のテンプレにはまってターンアラウンドしたのですが、その経験を振り返って次のように言っています(抜粋かつやや意訳)。正解というのは存在しないのですが、とても共感できる内容なので紹介します。

強い権限を持たずにチームをリードするには、自分の領域から踏み出さなければならない。過度な介入(おせっかい)という批判を恐れて、メンバーに過度な自由度を与えるのは失敗の元だ。メンバーは方向性を示されることを期待している。自分が謙虚でありたいと思っていれば、人にあれこれ指図するのに恐怖心を感じるものだ。それでも、結局のところ、もしあなたが人をリードすることに居心地の悪さを感じるのであれば、リーダーシップを求められる立場に立たない方がいい。もしやるなら、自分がどういう立場か理解して、勇気を持ってリードしよう。

前回紹介した『最前線のリーダーシップ』とも通じるところがありますね。
  

ということで、今年MBAに入学された方々そしてこれから入学される方々は、イベント運営(特にリーダーシップポジション)はとても良い経験ができる可能性がありますので、ぜひ選択肢の一つに入れられると良いのではないかと思います。


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