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読書メモ:『挫折力』 ~MBAというままごとだからこそソフトパワーが身につく

2011年08月20日 13:30



この本の著者である元産業再生機構COOの冨山和彦氏のことを初めて知ったのは学部卒時の就職活動のときでした。当時、ODA業界とコンサルティング業界のどちらに進むか迷いながら活動していて、その中で唯一応募した日系のコンサルティング会社が、この冨山氏がボストンコンサルティンググループ(BCG)を退社して設立に関わったコーポレートディレクション(CDI)だったからです。私が応募した時にはすでに冨山氏はCEOを退任されていたので、後任CEOの方と1対1で最終面接をさせてもらうことになりました。1時間程度でしたが、ほとんどビジネスに関する話はなく、ローマ帝国の街作りについて長くお話させて頂いたのが印象に残っています。

当時、CDIはよく「BCGを脱藩した」人たちが作ったコンサルティングファームと表現されていて、「和魂洋才」といって欧米の合理的なビジネス手法と、日本の企業文化を融合させたアプローチを売りにしていました。本書でも明治維新の話が何度か引用されているところや、ビジネスにおける心理的要素を重視しているところに、当時を思い出しました。

さて、この『挫折力』ですが、良い意味で看板に偽りありです。著者も認めている通り、前半は挫折が糧になることを説く内容ですが、後半はリーダーシップ論・権力論に関する内容になっています。そして、この(書名とは外れる)後半部分が、著者の豊富な経験と深い人間への洞察に基づいた、滋養というか深みのあるメッセージとなっています。

この現場感覚あふれる洞察の数々は、著者が書いている通り、戦略コンサルティング会社で顧客経営者だけを相手に働いているだけでは、達し得なかったものです。ベンチャーへの出向や企業再生の現場で泥にまみれたからこそ分かる人間の機微がしっかりと反映されています。だから、現場側からプロジェクト推進を行ってきた私にも「腹にはまる」ところや、二歩も三歩も進んだ考え方に学ばせてもらえる部分が数多くあったのだと思います。

詳細な内容は本書を読んでいただくとして、最後にMBAブログ的に一つだけ。本書には、ビジネスにおけるパワーを大きく2つ、ハードパワー(権力=人事権・金)とソフトパワー(権威・人望)に分けて説明している部分があります。ハードパワーは、突き詰めれば権力の源泉ではあるのだが、自分にもダメージを与えかねない諸刃の剣なので使用は最小限に留め、日常はソフトパワーによってリーダーシップを発揮すべきとされています。

そのソフトパワーを身に付けるのにMBAのクラブ活動や、NPO活動でリーダーシップを発揮することは優れた機会を与えてくれると私は感じています。なぜなら、これらの活動は基本的に自発的な集団によって行われる活動であり、各メンバーは活動をやめる自由もあるし、止めても生活に困ることはありません。つまり、ビジネスでのハードパワーを奪われた状態で、ソフトパワーのみを拠り所にチームをまとめて活動を推進していかざるをえないからです。また、仕事では基本的に結果が全であり、大失敗はその後のキャリア等にも影響を与えかねないので、普段と違う実験的な取り組みは試しづらいのですが、学生やボランティア活動であれば、人に過度な迷惑をかけない範囲ではどのように動こうが自由です。

MBAは所詮「学生のままごと」という指摘は、ある意味当たっているのですが、ままごとだからこそのメリットもあるのだと思います。

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