2011年09月25日 14:40
秋の集中講義「Leading and Managing Change」を受けました。以前から受けたかった人気教授J.B.M.Kassarjianの講義です。彼は生徒から「Professor」と呼ばれると必ず「J.B.でいいよ、J.B.で」と返す気さくな先生です。(ゲロッパ!)
世界競争力ランキングで有名なスイスのIMDでも教えていることもあってか、2.5日の講義で使った10本のケーススタディの多くがヨーロッパが題材です。そのうちの1本、彼が書いた90年代のソニーのヨーロッパ事業に関するケースは、チェンジマネジメントのケースとして過去に受賞もしている定番です。
多くのケースディスカッションを通して、企業の変革にあたって大事な要素を数多く、かつJ.B.の熱い解説によって(教室内の議論とはいえ)実感を持って学ぶことができました。理論的な枠組みも用意されてはいるのですが、むしろ変革期の各ステークホルダーの心理面(JOLT=突然の激しい動揺、という言葉を多用されてました)を重視したアプローチに、あくまで現実的なスキルとして、チェンジマネジメントを教えるという強い意志を感じました。(元産業再生機構COOの冨山和彦さんの著書からも似た印象を受けます。)
J.B.の熱い講義の様子の一端はこちら。これは他校(学部?)の様子で、バブソンMBAではもっと少人数です。
70歳代だと思うのですが(ハーバードで教えていた時にマイケル・ポーターが教え子だったそうなので、そういう世代)、このテンションで朝9時から夕方5時まで教鞭を取るエネルギーには恐れ入ります。
この講義を通して学んだことの中で印象に残った言葉の一つが、「多くの変革が失敗に終わるのは、変革後のビジョン(Destination)が間違っているからでも、そのビジョンを実現するための手段・道筋が間違っているからでもない。優秀な人達はそれらをきちんと計画できる。失敗は、それらをスタート地点(where we are)と結びつける時に起こる。これは簡単なことではない」。
この言葉は、いわゆる頭でっかちなMBA卒がビジネス復帰後に起こしそうな初歩の過ちから、もっとハイレベルなチェンジマネージャーが硬直化した巨大組織を変革する時に直面しそうな状況をよく表していると思います。また、ビジネスだけでなく国家レベルの政策にも当てはまりそうです。日本が今、やらねばならないことは、かなり明確になってきています。問われているのは、我々の現在地を理解した上で、それを実行に移すのにどうすれば良いかということ。
ここを突き詰めていくと、関係者の心理面を深く理解する必要性に繋がっていくのだと思います。J.B.は、例えば変革の状況を場合分けして、状況による違いを議論するなどして、卒業後にそういう状況に直面する学生に知恵を与えて送り出そうとしてくれていました。実際、たった2.5日のことでしたが、明らかに今後の自分に役立つと感じられる集中講義でした。
他にもいくつか言葉を紹介しておきます。
・文化を変えることで変化を起こそうとするな。文化というのは実際に何かを具体的に成し遂げることによってのみ作られるものである。手段ではない。
・先に全てを決めてしまわないこと。実行しながら、出てくる声によく耳を澄ませて、素早くアジャストしていけ。
・自分のリーダーシップのパターンを現実的に正しく理解する勇気を持て。そして自分のキャラクターを活かして自分の言葉で語れ。誰かの真似をしてもうまくいかない。
・過去の成功体験が大きいほど、変化への抵抗は大きくなる。危機の状況が誰の目にも明らかになった頃には手遅れのことが多い。それを防ぐには、早い段階でいかに説得力のある客観データを組織に持ち込んで危機感を共有できるかが大事。
最後に。ソニーのケースを書かれたり、他の日本企業にも関わってこられたJ.B.。ある日の授業の後に教室で雑談していると、「日本は大変なことになってるね。早く手を打たないとまずいよ。卒業したら頑張って日本を変えてくれよ!」とJ.B.。私はちょっとおどけて「Hopefully(もしできるものなら)」というような言葉で返しました。そうすると、「冗談じゃないんだよ!日本のことは大好だから、本気で言ってるんだよ!」。芯から優しい、尊敬できる教授です。
世界競争力ランキングで有名なスイスのIMDでも教えていることもあってか、2.5日の講義で使った10本のケーススタディの多くがヨーロッパが題材です。そのうちの1本、彼が書いた90年代のソニーのヨーロッパ事業に関するケースは、チェンジマネジメントのケースとして過去に受賞もしている定番です。
多くのケースディスカッションを通して、企業の変革にあたって大事な要素を数多く、かつJ.B.の熱い解説によって(教室内の議論とはいえ)実感を持って学ぶことができました。理論的な枠組みも用意されてはいるのですが、むしろ変革期の各ステークホルダーの心理面(JOLT=突然の激しい動揺、という言葉を多用されてました)を重視したアプローチに、あくまで現実的なスキルとして、チェンジマネジメントを教えるという強い意志を感じました。(元産業再生機構COOの冨山和彦さんの著書からも似た印象を受けます。)
J.B.の熱い講義の様子の一端はこちら。これは他校(学部?)の様子で、バブソンMBAではもっと少人数です。
70歳代だと思うのですが(ハーバードで教えていた時にマイケル・ポーターが教え子だったそうなので、そういう世代)、このテンションで朝9時から夕方5時まで教鞭を取るエネルギーには恐れ入ります。
この講義を通して学んだことの中で印象に残った言葉の一つが、「多くの変革が失敗に終わるのは、変革後のビジョン(Destination)が間違っているからでも、そのビジョンを実現するための手段・道筋が間違っているからでもない。優秀な人達はそれらをきちんと計画できる。失敗は、それらをスタート地点(where we are)と結びつける時に起こる。これは簡単なことではない」。
この言葉は、いわゆる頭でっかちなMBA卒がビジネス復帰後に起こしそうな初歩の過ちから、もっとハイレベルなチェンジマネージャーが硬直化した巨大組織を変革する時に直面しそうな状況をよく表していると思います。また、ビジネスだけでなく国家レベルの政策にも当てはまりそうです。日本が今、やらねばならないことは、かなり明確になってきています。問われているのは、我々の現在地を理解した上で、それを実行に移すのにどうすれば良いかということ。
ここを突き詰めていくと、関係者の心理面を深く理解する必要性に繋がっていくのだと思います。J.B.は、例えば変革の状況を場合分けして、状況による違いを議論するなどして、卒業後にそういう状況に直面する学生に知恵を与えて送り出そうとしてくれていました。実際、たった2.5日のことでしたが、明らかに今後の自分に役立つと感じられる集中講義でした。
他にもいくつか言葉を紹介しておきます。
・文化を変えることで変化を起こそうとするな。文化というのは実際に何かを具体的に成し遂げることによってのみ作られるものである。手段ではない。
・先に全てを決めてしまわないこと。実行しながら、出てくる声によく耳を澄ませて、素早くアジャストしていけ。
・自分のリーダーシップのパターンを現実的に正しく理解する勇気を持て。そして自分のキャラクターを活かして自分の言葉で語れ。誰かの真似をしてもうまくいかない。
・過去の成功体験が大きいほど、変化への抵抗は大きくなる。危機の状況が誰の目にも明らかになった頃には手遅れのことが多い。それを防ぐには、早い段階でいかに説得力のある客観データを組織に持ち込んで危機感を共有できるかが大事。
最後に。ソニーのケースを書かれたり、他の日本企業にも関わってこられたJ.B.。ある日の授業の後に教室で雑談していると、「日本は大変なことになってるね。早く手を打たないとまずいよ。卒業したら頑張って日本を変えてくれよ!」とJ.B.。私はちょっとおどけて「Hopefully(もしできるものなら)」というような言葉で返しました。そうすると、「冗談じゃないんだよ!日本のことは大好だから、本気で言ってるんだよ!」。芯から優しい、尊敬できる教授です。
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