2011年02月24日 07:10
知人から薦めていただいた『トヨタ生産方式』読了。
まず、これは(出版当時=33年前の)トヨタ生産方式の核となる考え方について、生みの親である大野耐一氏(元副社長、技術者)が直々に著した本です。なので、基本を正しく理解するには適した一冊なのですが、まえがきで本人が断っているように、詳細に具体例を挙げてあるわけではありません。あくまでコンセプトの紹介が主眼です。また、「ジャスト・イン・タイム(JIT)」「自働化」といったコンセプトを実現するには、ドミノ式にすべてのプロセスに波及する影響に対して、包括的に策を講じる必要があるというのが、読んでいくと容易に想像できます。中途半端な理解で、部分的・表面的に導入すると、効果がないどころか泥沼にはまりそうです。そうならないように、全体像をある程度のレベルまで理解するには、相当の勉強が必要だと、ひしひしと感じました。(ということで、これが「トヨタ生産方式」だ!なんて内容は、ここにはおこがましくて書けません)
そう考えると、このような小手先でないオペレーション上の優位性を築いた場合に、競合がそれを理解し、実際に模倣して生産性を向上させて追いつくのは、容易なことではないことが分かります。少なくともかなりの年月がかかりますし、それはトヨタ自身が自動車産業で実証してきたことです。生産性による競争力の強化は、先学期に習ったポーター流のポジショニングを重視した戦略論では著しく軽視されていたように思えて、違和感を感じていたのですが、その意を強くしました。
次に、MBAでの勉強について。今学期、必修で受講しているオペレーションの授業でも、JITは紹介されたのですが、当然ながらごく表面的に触れるだけに留まっています。そもそもMBAが薄く広くビジネスを学ぶ場で、1年生の必修科目だからなおさら「そういう考え方がある」程度になるのは仕方がないでしょう。あとは、本人がどれだけ自分で深堀りするかということですね。私としてはサービス業やIT分野にどう応用できるかに関心があるので、その方向でもう少し踏み込んでみるか思案中です。
また、この本を読んでいて印象に残ったのは、大野氏の意識の高さと、意思の強さです。トヨタ生産方式とこの本で呼ばれる考え方の原型は、出版のさらに30年前(1940年代)から大野氏の頭にあり、そこからこの革新的なアイデアを、実践の中で着実に発展させていき、ここまで辿りついています。その間も常に、当時圧倒的に進んでいた米国の自動車メーカー(特にフォード)に、いずれは勝る仕組みになると信じて進めてきた情熱を、文章の端々から感じました。熱いです。大野氏自身にも興味を持ったと共に、このような志と実行力を自分(我々の世代)も持っているか?と自問するきっかけとなった一冊でした。
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まず、これは(出版当時=33年前の)トヨタ生産方式の核となる考え方について、生みの親である大野耐一氏(元副社長、技術者)が直々に著した本です。なので、基本を正しく理解するには適した一冊なのですが、まえがきで本人が断っているように、詳細に具体例を挙げてあるわけではありません。あくまでコンセプトの紹介が主眼です。また、「ジャスト・イン・タイム(JIT)」「自働化」といったコンセプトを実現するには、ドミノ式にすべてのプロセスに波及する影響に対して、包括的に策を講じる必要があるというのが、読んでいくと容易に想像できます。中途半端な理解で、部分的・表面的に導入すると、効果がないどころか泥沼にはまりそうです。そうならないように、全体像をある程度のレベルまで理解するには、相当の勉強が必要だと、ひしひしと感じました。(ということで、これが「トヨタ生産方式」だ!なんて内容は、ここにはおこがましくて書けません)
そう考えると、このような小手先でないオペレーション上の優位性を築いた場合に、競合がそれを理解し、実際に模倣して生産性を向上させて追いつくのは、容易なことではないことが分かります。少なくともかなりの年月がかかりますし、それはトヨタ自身が自動車産業で実証してきたことです。生産性による競争力の強化は、先学期に習ったポーター流のポジショニングを重視した戦略論では著しく軽視されていたように思えて、違和感を感じていたのですが、その意を強くしました。
次に、MBAでの勉強について。今学期、必修で受講しているオペレーションの授業でも、JITは紹介されたのですが、当然ながらごく表面的に触れるだけに留まっています。そもそもMBAが薄く広くビジネスを学ぶ場で、1年生の必修科目だからなおさら「そういう考え方がある」程度になるのは仕方がないでしょう。あとは、本人がどれだけ自分で深堀りするかということですね。私としてはサービス業やIT分野にどう応用できるかに関心があるので、その方向でもう少し踏み込んでみるか思案中です。
また、この本を読んでいて印象に残ったのは、大野氏の意識の高さと、意思の強さです。トヨタ生産方式とこの本で呼ばれる考え方の原型は、出版のさらに30年前(1940年代)から大野氏の頭にあり、そこからこの革新的なアイデアを、実践の中で着実に発展させていき、ここまで辿りついています。その間も常に、当時圧倒的に進んでいた米国の自動車メーカー(特にフォード)に、いずれは勝る仕組みになると信じて進めてきた情熱を、文章の端々から感じました。熱いです。大野氏自身にも興味を持ったと共に、このような志と実行力を自分(我々の世代)も持っているか?と自問するきっかけとなった一冊でした。
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