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米国式参加型授業とクラス貢献について

2010年11月27日 03:23

アメリカ式教育の特徴は、講師の講義を聞くだけでなく、学生同士で意見交換する中で学びを得ていくことにある、と大学のオリエンテーションで説明がありました。

実際、生徒は講義を聴くだけでなく、積極的に発言してクラスに貢献することが求められます。クラスへの参加状況は講師が評価していて、成績に反映されます。例えばModule1では、学期の成績の20%がClass Participation分でした(全科目の評価が合算される)。

ということで、良い成績が欲しければ、授業中に皆の学びに繋がるような発言をすることが必須になります。もちろんただたくさん話せば良いわけでなく、発言の質が伴っていることが前提です。

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しかし、ここで問題が発生。ある授業で、教授からすると「質の低い」発言や質問がいくつか続き、授業の重要な部分に必要な時間がかけられないことが2、3回あったのです。そこで教授が「私はこのレベルで授業を終わらせたくない。君たちも、もっと高いレベルでの議論を求めているはずだ」と不満を表明。(実は私としてはそこまで著しく低レベルな発言とも思わなかったのですが、一部予習不足が露呈していたのが悪印象だったのかも)

実はこの話には伏線があって、その前週、Module2に入って2週間目が終わった段階で、クラス参加状況のアセスメントが行われ、各学生に対して授業ごとのClass Participationの評価が配布されていました。恐らく、そこでクラス貢献が低い、と評価された学生が「これはまずい」と挽回を図って、それほど有意義な内容でなくても、とにかく何か発言しようとしたのではないかと思われます。

確かに、それは合理的な行動なのです。なぜなら加点主義のアメリカ教育においては、質の低い発言をしても、特に減点されるわけではないからです。そうなれば黙っていて+0点よりは、何か話して加点のチャンスを伺った方が、成績だけを考えればベターです。

ただ、そうなると授業の質に悪影響を及ぼすので、周りの学生はたまったものではありません。教授の発言の通りです。

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ではどうすればいいのか。

まず、講師が授業をうまくコントロールするのが大前提。不公平感がないように発言機会を与えたり、時間配分を考えて発言を制限したりするのも必要。有意義な議論に誘導するような事前課題の与え方も含めて、講師の力量が問われます。

もう一つは、クラスの雰囲気。バブソンMBAの魅力の一つは、協調的なカルチャーにあると言われます。授業では、生徒はお互いの発言を尊重するムードがありますし、それは英語力でハンデのある私や他の留学生にとっては、特に有難いです。事実、そのムードに乗って気軽に話した内容が、他の生徒のツボにはまって面白がってもらえることも少なからずありました。

そんな文化を残しつつも、一定以上の質の発言を求めるような緊張感が大事なんだと思います。

上記の教授の発言の後、それを聞いた(たぶん仲の良い)他の教授が、授業で「Any intelligent questions?(笑)」と言ってみたり、学生もプレゼンの後で「Only excellent questions, please」と笑いを誘うなど、冗談交じりでこの動きがありました。一応、自浄作用が働いているようです。

クラス貢献に関しては他にも、発言することにさほど意義が感じられない必須スキル習得型の授業も評価対象になっていたり、評価の基準があいまい、等の問題もあったりします。それでも、ますます先を予測することが難しくなってきた世の中で、多様な意見に触れ、また異なる意見を健全に戦わせ、合意点を見出す力を育むアメリカ式教育にメリットを感じるのも、また事実です。

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