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分析か直感か。それが問題だ。

2010年05月30日 18:51

『分析力を武器とする企業』を読了。

バブソン大学のトーマス・H・ダベンポート教授が著者ということで、既に読んでいた上司が受験の参考にと貸してくださった本。タイトルの通り(原題も『Competing on Analytics』)、企業活動において分析を有効に行って行動に結びつけることの重要性を指摘し、実際に先進的な取り組みを行っている企業の豊富な事例を挙げている良書でした。分析を題材にした本というと統計や数学が頭をよぎって敷居が高そうに感じる人も多いかもしれないですが、この本は分析をいかに活用するかということについて書かれた本で、しかも豊富な事例と読みやすい翻訳のおかげでとても読みやすい内容になっているのでそういう方にもおすすめです。

ダベンポート教授は今日の複雑なビジネス環境の下でより良い判断を行っていくためには、勘に頼るのではなく、データを分析し、それに基づいてビジネスを行うことが重要だと本の中で繰り返し説いています。分析の最大の敵は直感である、という立場です。

一方で、元米国アップル副社長で日本法人社長、現日本マクドナルドCEOの原田泳幸氏は著書『とことんやれば必ずできる』の中で、「戦略は市場調査よりもひらめきで立てる」と書いています。データは、ひらめきで立てた戦略が正しいかどうかを判断するために用いるとしています。原田氏は多くの方がご存じの通り、アップル、マクドナルド(Wマック!)で立て続けに成功を収めてきた経営者です。そういう方がひらめき重視というのが意外でした。

ただ、一見、正反対のことを述べているようですが、原田氏の本意は、誰でも手に入るような市場調査を元に薄っぺらい戦略を立てることの愚を指摘していると読めました。市場調査という(ともすると)安易な手段でなく、日頃からの観察に基づいてユニークなアイデアを生み出すことが大事だということだと思います。ダベンポート教授もそういう安易な分析を奨励しているわけではなく、データの中からそこに隠された意味やビジネスチャンスを見つけ出す高度な作業(それはしばしば数学や統計の専門家が直接行ったり指導したりする)が強い競争力を生み出すと考えているので、根本的には二人の立場に違いはないのでしょう。

分析か直感か。分析力を駆使して成功を収める企業が増える中、現在飛ぶ鳥を落とす勢いのアップルのスティーブ・ジョブズは直感派の代表例です。この古くて新しい問題、読んでくださったあなたはどのように考えますか?
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