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ボストンMBA生のためのレッドソックス観戦ガイド@フェンウェイパーク (3)座席選び編

2012年04月16日 13:52

今回はフェンウェイパークの座席を簡単に紹介します。

実はこれは結構大事で、100年前に建設されたこの球場は、形状が特殊なだけでなく、新しい球場にはあり得ないトラップがあったりします。最悪の場合、チケットを買ったのにほとんど試合が見られない(!)、という笑えない状況になります。それも特殊な例外ではなく、毎日数十から百人以上が、バッターが全く見えない席で観戦してるのです。

球場はこんな形をしています。

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写真の上部を見てもらうと上部にLansdowne Streetとあります。こちら側に大きな道(高速道路)が走っているため、球場はレフト方向が極端に狭く、それを補うために有名な高い壁(グリーンモンスター)が設置されています。

ここから各エリアの説明に入りますが、単純化していたり省いているところもあるのはご容赦ください。

・Lodge Box
photo (2)
座席図の黄色部分のうち、内野に近いところを指します。定価は100ドル弱ですが、StubHub等で買うと数百ドルになることも珍しくありません。フィールドに近いため、選手の表情や、プレーの音まで聞こえて迫力があります。また、バックネットを除いてネットがないので、ファウルボールには注意です。

こんな一等席のLodge Boxですが、要注意なのは通路真後ろ1列目の席です。前をひっきりなしに人が通って観戦し辛いので、避けるのが賢明です。

・Pavilion Box、Field Terrace、Coca Cola Corner等
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上空から見下ろす席です。写真だと選手が小さく見えるかもしれませんが、実際には十分良く見える距離です。グランド全体を広々と俯瞰することができます。専用の飲食スタンドも近くに設置されていて便利です。この席も通常90ドルとなっていて、その辺の地上席より価値があるとされています。マイナスは風が強い日は結構冷えるので、特に春先や秋の観戦は厚手の服を持って行くのをおすすめします。

・Grand Stand(Infield/Outfield)
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地図でブルーになっている部分です。2階席の下です。このエリアは内外野共に50ドル台なので、席によってはかなりプレーヤーに近いところから格安で観戦することができます。また、雨が降ってきても、問題なしという強みもあります。

ただ、既に写真をご覧になって気付かれていると思いますが、リスクは柱。真後ろになるとほとんどプレーが見えません。これを避けるには、購入前に公式ウェブサイトの座席チェックで、各ブロックの境目の一番前に柱があるのを前提に、問題なさそうか確認する方法があります。ただ、一部、柱の位置には例外もあるので、完全ではありません。また、ブロックでいうと1~5くらいのライト奥の席は臨場感が最もない席でプレーも見辛く、私は避けるようにしています。

その他の特徴としては、歴史あるフェンウェイパークらしく、木製の椅子で、ドリンクホルダーもありません。

・Right Field Lower/Upper Box
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ライトポール付近の座席です。こちらも要注意席です。一見、グランドに近くて良さそうに思えるのですが、座席が内野に対して右を向いた状態になるため、自分の左前方に背の高い人が座ると試合が全く見えなくなることがあります。マリナーズ戦でイチローを近くで見たい人以外は、他の席の方が満足度が高いとおもいます。

・Bleacher
photo (3)

ライトからセンターにかけての外野席です。立ち見を除けば最も安価な席になります。

席を選ぶ上でのポイントは前後位置になります。

前方の方が若干フィールドに近いのですが、高さがないため、プレーはあまり見やすくありません。良いところは、このエリアとグランドの間にブルペンがあること。リリーフピッチャーや、試合前の先発ピッチャーを数メートルの距離から見ることができます。

私の好みは後方、つまり上の方の席です。距離は遠いので視力が良くない人には向きませんが、そうでなければ気軽に球場全体を眺めつつ観戦できます。デメリットは、席によってはメインのスクリーンが見えないことです。Upper Bleacherであれば、定価12ドルと格安ですが、席が限定されていて手に入りにくいです。

・Green Monster Sheet
DSCF4053.jpg

フェンウェイパーク名物であるレフトの高い壁=グリーンモンスター上に限られた数だけあるシートです。座席だけでなくテーブルまでついたこの席は、球場で最も高価な席の一つです。私は自分で購入したことはないのですが、定価で百数十ドルから、マーケットでは数百ドルの値もつきます。

・SRO(Standing Room Only:立見券)
内野、外野、テラスに立ち見スペースがあります。チケットには自分の指定エリアが書かれています。最も観やすいのはテラスで、内野・外野は身長が低いと結構厳しいことも多いです。

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ボストンMBA生のためのレッドソックス観戦ガイド@フェンウェイパーク (2)チケット入手編

2012年04月13日 11:18

フェンウェイで野球観戦だ、と思ったら、最初にやることはチケット購入です。

photo (1)
[写真は郵送版チケット実券。大抵は自宅印刷のチケットで入場します]

まずはシンプルに以下の順で進めると良いかと思います。

1.まず、レッドソックス公式ホームページをチェック

公式ホームページにスケジュールがあるので、ここから都合の良い日程や希望の対戦相手を確認して、チケットを購入できます。

レッドソックスの松坂投手(2012年は6-7月に復帰予定)や、他球団のお目当て先発投手登板日を狙って買うときは、画面上部の「Top」にポインタを合わせると出てくるメニューリストから、「Probable Pitchers」を選択すれば、今後数試合の予想先発投手が表示されます。試合が近づいている場合には有効です。

そこでチケットを見つけて購入…してもいいのですが、とりあえず空席や大体の値段をチェックして2に進みましょう。

そもそもフェンウェイでのレッドソックスの試合は8年間、700試合以上完売というダントツのメジャー記録を持っているので、目当ての試合が売り切れになっていることもしばしばです。特にヤンキース戦は一瞬で売切れます。

2.次にStubHubをチェック

StubHubは、すでに購入済みのチケットをファン同士で売り買いするサイトです。Instant Downloadのマークがあれば、自宅プリンタで印刷できるチケットなので、当日でも購入可能です。

チケット価格は出品者次第なので、週末の人気カードは定価の何倍にもなる一方、平日の不人気カードは定価割れもあります。また、傾向としては、連席の枚数が多い場合(大人数で一緒に座る場合)は、どうしても値段が高くなりやすいです。逆に一枚だけの出品の場合、格安になっていたりします。

ここで見つけた値段を1の公式ホームページと比較して、安い方を買いましょう。両方手数料がかかるので、そちらも忘れずチェックしてください。

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[左:地元最終戦前にファンサービス中の松坂投手、右:ポップコーン売りの兄ちゃん]

3.その他の購入方法

基本的には上記1か2で買えば良いと思いますが、ボストン在住日本人の掲示板BICで出品されているのを買ったり、実店舗も構えているチケットブローカーACE TICKETで購入する等の方法もあります。

実際の所、当日は球場周辺にダフ屋さんもいらっしゃるのですが、購入は違法行為のはずですので、気を付けてください。

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これが基本的な購入プロセスなのですが、初めての方ですと、どの席を買ったら良いのか分からない、というところで戸惑ってしまうことが多いと思います。次回はそこを説明します。

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ボストンMBA生のためのレッドソックス観戦ガイド@フェンウェイパーク (1)超基本編

2012年04月08日 15:22

2012年のメジャーリーグベースボールが開幕しました!

留学でボストンに住むことになった人は、たとえ野球ファンでなかったとしても、一度くらいはフェンウェイパークに行ってみようかなと思ったことがあるんじゃないかと思います。実際、イチローが所属するマリナーズ戦などは、観客席に明らかに日本人の方がたくさん見受けられます。また、ボストンに友人が遊びに来てくれたりした時に、観光の一環で一緒に野球観戦、というパターンもボストン留学のあるあるです。

しかし、そんな時にどうしていいのか分からない方も多いようです。どうやってチケットを取るのか、相場はいくらくらいなのか、どの席がいいのか等々。

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私は2年弱の留学でたった20回程度の観戦で終わってしまいそうな、しがないレッドソックスファンで、もっとコアで猛者なファンの方々の顔を思い浮かべると恐縮してしまうのですが、それでも多少は通った身として、多少のノウハウを残していこうと思います。

まず今回は超基本情報から。

球団-ボストン・レッドソックス [Boston Red Sox]

書きだすと長くなるので簡単に。アメリカンリーグ東地区の強豪で、伝統的に攻撃重視のチームです。同じ地区のニューヨーク・ヤンキースとライバル関係にあり、ヤンキース戦のチケットはやたら高騰し、日によってはファンの「Yankees suck!(くたばれ、ヤンキース!)」コールが球場に響き渡ります(逆にボストンから来たことが理由で、ヤンキースタジアムのスタッフに意地悪された経験あり)。日本人選手では、かつては野茂英雄投手等が在籍し、今は松坂大輔投手、田澤純一投手が所属しています。

球場-フェンウェイパーク [Fenway Park]

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100年前の4月20日にオープンしただけあって、歴史を感じる球場です。オープンの数日前に、あのタイタニック号が沈没したために、あまり世間の話題にならなかったというエピソードがあります。一般向けの球場ツアーに参加すると、この辺りの説明付きで球場を案内してもらえます。

座席数は約3万7千席と、メジャーリーグだけでなく日本の球場と比較しても小さいです。そのため、アットホームな雰囲気や、選手を近くで観られるメリットがあるのですが、後日アップするようにどうしてもチケット料金が高くなりがちな原因となっています。

では、これから3、4回に渡って、私のノウハウを共有していきます。興味のない人はさらっと読み飛ばしてください。

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オンライン教育で16万人に講義した後、200人の教室に戻れるか? ~スタンフォード大学スラン教授が選んだ道

2012年01月27日 16:59

スタンフォード大学で人工知能に関して教鞭を取っているセバスチャン・スラン(Sebastian Thrun)教授が、スタンフォードを辞めて、オンライン教育機関Udacityを立ち上げることを発表しました。(元記事 Sebastian Thrun Resigns from Stanford to Launch Udacity)










[TEDに出演した際のスラン教授による自動操縦自動車に関する短いプレゼン]

彼がきっかけとなったと語るのは、昨秋行ったオンライン講義です。「人工知能入門」を無料で提供したところ、全世界から16万人が受講したそうです。その中には治安情勢の悪いアフガニスタンに住む人や、自国でシングルマザーとして忙しい日々を送っている人、つまり従来型の教育ではアクセスが許されなかった人達も含まれていました。また、行ったテストによると、スタンフォードの学生を上回る成績を残した人も少なからずいたとのこと。

その経験を経て、スラン教授はこう語ります。「自分がこれまで大学教授として教育で与えてきたインパクトを、このたった1日のオンライン教育が超えてしまった」「教育の力を知った今となっては、もう後戻りできない。これは麻薬みたいなもので、もはや従来の教室で200人の生徒を教える気にはなれない」。

彼は正真正銘の現役教授であり、授業の質はスタンフォードと同レベルであると言えます(議論等のやり取り面には違いがありますが、この点は後日)。にも関わらず、米国大学の学費が高騰する中、この授業は無料です。これと似た流れとして、先日MITもM.I.Txという名称で無料のオンラインコースを提供することを発表しました。

これらの動きは、テクノロジーの進化による大変革を迎えつつある米国の高等教育の未来を考える上で、いくつかの重要な問いを投げかけています。

大学の存在価値とは何なのか?学位の意味とは?大学は1人に年間400万円の学費を課すより、一人1授業100円を徴収すれば経営が成り立つのではないか?有名大学の評判や権威をオンライン教育で利用することの是非は?オンライン教育によって「破壊」される大学とそうでない大学があるか?あるとすればその差は何か?従来型教育とオンライン教育のメリット、デメリットは?2つは補完するのか、競合するのか?等々。

テクノロジーによる教育改革に関して、日本ではまだ一般的には電子教科書の導入是非程度の議論に留まっていますが、アメリカはこの点で熱気に溢れています。私もこの分野には非常に注目しており、各種カンファレンスに参加して起業家や教員の方々と意見交換をするなどしています。このブログでも今後、関係した記事を書いていく予定です。

※この分野に興味がある方で、情報交換させてもらえる方がいらっしゃれば、プロフィール欄のメールアドレスまでお気軽にご連絡ください。

読書メモ:『資本主義はなぜ自壊したのか』 ~中谷巌氏「転向」の書

2012年01月02日 13:29



かつてから「グローバル資本主義」「新自由主義」を積極的に支持してきた著者が、2008年に「転向」し批判側に立つと宣言した際の本。

賛否両論あるようですが、私は興味深く読みました。確かに内容には、一線級の経済学者とは思えない粗さが目立つのですが、本書の主要メッセージである資本主義の欠点については、議論の価値がある論点がいくつか提示されています。特にグローバル資本主義が、必然的に一国内の格差を拡大するようなメカニズムになっているとする主張は読みごたえがありました。(ここでは詳しく書きませんが、「生産と消費の分離」「情報の格差」「政治の失敗」がグローバル化と交わることにより所得の再配分機能が働かない、というのが理由)

この本は出版当時、「転向の書」としてセンセーショナルに売り出されたせいかネットのレビュー欄等で一部誤解があるようですが、著者はグローバル資本主義・自由主義を正面から否定しているのではなく、その根源的な負の側面に目を向け、対応することを説いています。副題にある日本再生への提言や、アメリカ文化論はともかく、この問題提起を理解するのが目的であれば、良書と言えると思います。

今、ヨーロッパは市場・通貨が統合しているにも関わらず、経済政策が分離しているという矛盾から、経済危機が起こっています。一方、この本で論じられているのは、グローバル資本主義の結果として世界の市場が統合しつつあるのに対して、今でも政治や利害対立が国単位であることの矛盾がもたらした格差拡大、不安定な経済、環境破壊です。この本を読んで、私にはこの2つの問題はある種、相似形ではないかという考えが浮かびました。2012年も欧州危機の話題が多いでしょうから、それに合わせて引き続き自分なりに考えていきたいと思います。


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