2010年09月05日 22:32
オリエンテーションの最後は、2日半に渡るビジネスシュミレーションゲームでした。バブソン大学のEng教授が開発したTechMarkというプログラムです。企業研修用として、シーメンス、ソニー、ボーズ、シスコシステムズ等の企業で実績があるそうです。
ゲームの内容は、1チーム(企業)5~6人に分かれて、製造業5社で構成される中間財市場で競争を行うというもの。市場と生産地としてヨーロッパ、日本、途上国の3つの地域を模した3地域があり、市場には3種類の製品が存在しているTechMarkの世界がゲームの舞台です。
そこで、各チームは与えられた4つの指標(ROA、ROE、棚卸資産構成比率、借入金比率)の目標値を満たすように、商品の特性、価格、生産量、販促費、営業要員の配置、借入、自社株買い等の決定を行います。
ゲームの流れは、「講堂で講義・説明 → 各チームが個室で分析・議論してPCに数値入力 → 休憩 →講堂で講義&前期の結果発表 → 詳細資料配布(財務諸表+市場の状況) → 次の期」というもの。これを5期に渡って行う中で、ビジネスを取り巻く様々な要素に触れつつ、グループワークに慣れるというのが目的です。
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私のチーム(アメリカ人3、メキシコ人1と私の、それぞれバックグラウンドが異なる5人)は、結局、十分な利益を上げることができず、ROAとROEが目標値以下のまま終わりを迎えてしまいました。(すべての目標値を達成したのは2~3割のチーム)
最後に各チームで振り返り(=敗因分析)を行う時間があったのですが、その際にアメリカ人の1人が挙げたのが、「Lack of conflicts limited our views」。つまり、「”衝突”が少なかったとことで、チームとして幅広い視野を持つことができなかった」ということでした。
確かに、我々のチームでは、目立った意見対立が少なく、一見、スムーズな意思決定が行われているようでした。しかし、実際のところは、他のメンバーに遠慮をして、積極的に反対意見を述べることを控えているようでもありました。いくつかの異なる意見は出るのですが、それだけで留まってしまっていて、さらに論点を明確にして、主体的な価値判断(=どっちが良いか決めること)を行うところまで踏み込めていませんでした。
今回、各メンバーは多様な視点を取り入れることの重要性は認識していたと思いますし、実際の5人のバックグラウンドも様々で、それができる素地はあったはずです。しかし、(実際のビジネスと同様に)TechMarkでは何が正しい選択かが明確である場面はほとんどありません。他人と違う提案をするにも、必ず何らかの欠点やリスクが伴います。そんな中、誰かの意見に対する「最初の意見と同様に不完全な」代替案を複数用意し、それぞれを比較して最善と考える決定を下す、という動きを、短時間で行うスキルが、このチームになかったのだと思います。
つまり、多様性を成果に反映させるスキルが不足していたということです。今回のTechMarkを通じての私の最大の収穫(Take Away)は、これを体感できたことでした。
「多様性を重視する/違っていること=基本的に善」という価値観を全員が持っていることは、私が経験してきた日本でのビジネスより、これからの時代の国際的なビジネスを考えると「より有利な」考え方だと思います。しかし、それを実務レベルで、同質的な意見の集団が出すアウトプットより優れたアウトプットとして実現するには、それなりのスキル(たぶん、戦略的な思考や、繊細なコミュニケーション能力など)が必要だということです。当たり前といえば当たり前の話ですが、身につけるのは容易でないはずです。
私がMBAに進学することを選んだ目的の一つは、「国際的なビジネスシーンで多様なメンバーをまとめる力を向上させる」でした。TechMarkは、これを授業とはいえ、実体験を通じて再確認する良い機会となりました。
[参加賞のTシャツ。かばんに突っ込んでいたのでしわしわ]
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※今回のエントリーとは少し観点が異なりますが、多様性に関して日米文化を比較した、古賀洋吉さんの秀逸なブログエントリはこちら。おすすめです!
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ゲームの内容は、1チーム(企業)5~6人に分かれて、製造業5社で構成される中間財市場で競争を行うというもの。市場と生産地としてヨーロッパ、日本、途上国の3つの地域を模した3地域があり、市場には3種類の製品が存在しているTechMarkの世界がゲームの舞台です。
そこで、各チームは与えられた4つの指標(ROA、ROE、棚卸資産構成比率、借入金比率)の目標値を満たすように、商品の特性、価格、生産量、販促費、営業要員の配置、借入、自社株買い等の決定を行います。
ゲームの流れは、「講堂で講義・説明 → 各チームが個室で分析・議論してPCに数値入力 → 休憩 →講堂で講義&前期の結果発表 → 詳細資料配布(財務諸表+市場の状況) → 次の期」というもの。これを5期に渡って行う中で、ビジネスを取り巻く様々な要素に触れつつ、グループワークに慣れるというのが目的です。
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私のチーム(アメリカ人3、メキシコ人1と私の、それぞれバックグラウンドが異なる5人)は、結局、十分な利益を上げることができず、ROAとROEが目標値以下のまま終わりを迎えてしまいました。(すべての目標値を達成したのは2~3割のチーム)
最後に各チームで振り返り(=敗因分析)を行う時間があったのですが、その際にアメリカ人の1人が挙げたのが、「Lack of conflicts limited our views」。つまり、「”衝突”が少なかったとことで、チームとして幅広い視野を持つことができなかった」ということでした。
確かに、我々のチームでは、目立った意見対立が少なく、一見、スムーズな意思決定が行われているようでした。しかし、実際のところは、他のメンバーに遠慮をして、積極的に反対意見を述べることを控えているようでもありました。いくつかの異なる意見は出るのですが、それだけで留まってしまっていて、さらに論点を明確にして、主体的な価値判断(=どっちが良いか決めること)を行うところまで踏み込めていませんでした。
今回、各メンバーは多様な視点を取り入れることの重要性は認識していたと思いますし、実際の5人のバックグラウンドも様々で、それができる素地はあったはずです。しかし、(実際のビジネスと同様に)TechMarkでは何が正しい選択かが明確である場面はほとんどありません。他人と違う提案をするにも、必ず何らかの欠点やリスクが伴います。そんな中、誰かの意見に対する「最初の意見と同様に不完全な」代替案を複数用意し、それぞれを比較して最善と考える決定を下す、という動きを、短時間で行うスキルが、このチームになかったのだと思います。
つまり、多様性を成果に反映させるスキルが不足していたということです。今回のTechMarkを通じての私の最大の収穫(Take Away)は、これを体感できたことでした。
「多様性を重視する/違っていること=基本的に善」という価値観を全員が持っていることは、私が経験してきた日本でのビジネスより、これからの時代の国際的なビジネスを考えると「より有利な」考え方だと思います。しかし、それを実務レベルで、同質的な意見の集団が出すアウトプットより優れたアウトプットとして実現するには、それなりのスキル(たぶん、戦略的な思考や、繊細なコミュニケーション能力など)が必要だということです。当たり前といえば当たり前の話ですが、身につけるのは容易でないはずです。
私がMBAに進学することを選んだ目的の一つは、「国際的なビジネスシーンで多様なメンバーをまとめる力を向上させる」でした。TechMarkは、これを授業とはいえ、実体験を通じて再確認する良い機会となりました。
[参加賞のTシャツ。かばんに突っ込んでいたのでしわしわ]
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